麻瀬憧庵                                 

ミッド・バス交換 130Aへ


 ツィーターが決まり周波数特性を測定できる環境が整いましたので、これからはまずは測定しその後試聴する事によりセッティングを進めて行く事にしました。

という事で、各ユニットの素の特性を知る事から始めました。

EV46cm

JBL M115
エレクトロボイスの46cmウーファーとミッドバスに使用しているJBLのM115という38cmスピーカーです。

素の特性と申しましても、ウーファーの方はチャンネルデバイダーのクロスオーバー周波数を930Hzに、M115の方は3,700HZに設定して測定しています。

こちらの特性は、過去記事に掲載した 『リテイルマネジメント』 という会社のHPに掲載されている特性にかなり近いですね。

はじめこのM115というスピーカーには安物のドライバーが組み合わされていて、クロスオーバー周波数は1,600Hz(カタログ値)という事だったのですが、使いこなすうちにこのドライバーの周波数特性の欠点を知り、マルチアンプシステムにおいてそれを克服する使い方(コンデンサーを直列に入れる)をした結果、クロスオーバー周波数をだいぶ上げなくてはならなくなり、品のない音になってしまいました。         (詳しくはこちら
 やはり、このM115の2kHz当たりの盛り上がりが非常に悪影響を与えているのではないかと考え、もっと低いところでクロスできるドライバーとしてJBL2426に換装しました
ところがこのドライバーも同じ傾向(高域に向けて音圧が下がる)があり、やはりコンデンサーを入れざるを得ず、結果的にあまりクロスオーバー周波数を下げる事が出来ませんでした。

今回、測定環境が手に入ったのでこの二つのスピーカーの特性を詳細に知り最適解を見つけるべく早速測定してみました。

JBL2426+2370ホーン周波数特性 (JBLHP)


やはりJBLのサイトに載っていたものと同じような特性ですね。
2kHzから7kHzにかけて10dB以上ドロップしています。

こういう特性を修正する場合、コンデンサーを直列に入れてやると、
−6dB/oct のローカットフィルターを入れた場合と同じような特性になります。
コンデンサーの値により動作点が変わりますが、それはスピーカーのインピーダンスで決まります。

8μF、 4.9μF、 3.8μFと値を変えて測定した物が左のグラフです。
上は log表示 下はリニア表示です。

8μFでは3kH以上はほぼ改善されず、2kHz以下が低下しています。
4.9μFでは、6kHzあたりから低下し始め、2kHzあたりまでの傾きがかなり小さくなっていますが、それ以下では落ち込みが激しくなっています。
3.8μFでは、2〜7kHzの特性は更にフラットに近くなっていますが、2kHz以下の落ち込みも更に増しています。

この他の値のコンデンサーでも測定したのですが、結局一番バランスが良い値として4.9μF(実測値)をチョイスしました。

これ以前、耳による試聴だけで選んでいた時も、5.5μFを使っていましたからこの結果と大差なく、やはり周波数特性をフラットに近付けた方がより良い音に聴こえるのでしょう。

結局この測定ではっきりした事は、このドライバーとホーンではクロスオーバー周波数を1,800Hz位より上にしないといけないという事でした。
これは耳だけでセッティングしていた時にすでに感じていた事で、クロスオーバー周波数を1,500Hz以下にすると音が奥に引っ込んでしまい全くつまらない音になり、1,500を越えると少しづつ前に張り出してきて力感が出てくるという状態がはっきり感じられていました。
但し、そうするとM115の2kHzあたりの盛り上がりをカットする事が出来ず賑やかしい音になってしまいます。

 ネットワークによるクロスオーバーの場合、遮断特性は−6dB/oct 、又は−12dB/oct ですから、素子を選ぶ事により動作点を離れた位置に設定する事も出来るのですが、マルチアンプシステムにしてチャンネルデバイダー(アナログ方式の場合)を使用するとそういう操作が出来ませんのでユニットの素の特性がとても重要になってきますね。

ともあれ、今回音の状態を目視出来るようになり、これ以降セッティングに際して迷いやストレスから解放され、答えを見つけるまでのスピードと精度が飛躍的に向上するであろう事がはっきりと分かりました。

以降、上記の結果を踏まえ最適なクロスオーバー周波数を求めて色々試してみたのですが、やはりM115の2kHzあたりの盛り上がりから来るであろうと思われる賑やかしさを制御する事が出来ず、結局このスピーカーに見切りをつける事にしました。

そこで真っ先に考えたのはやはりJBLの130Aというスピーカーでした。
これは、D130というフルレンジ型ユニットのアルミ製のセンタードームを紙製に変え、ウーファーとして売り出されたものです。
D130は、ジェームス・バロー・ランシングがJBL社を設立した後設計した製品で、名機の誉れ高いユニットです。
その音は張りがあり軽やかで躍動感にあふれ、音楽の楽しさを伝えてくれると愛好者は絶賛しています。

ヤフオクで探したのですが、今では希少という事もあるのでしょう結構な値段で取引されています。
そんな中で見つけたのがこれ。








 一見すると普通のウーファー。
ところが裏の銘板見ると D130と書いてあります。 リコーンされているのですね。

もちろんオークションの商品ページにはD130と書かれていてこの様な画像が載っていましたから、そのことは承知の上で落札したのです。
おかげで130Aの平均的な落札価格の半額くらいで手に入れる事が出来ました。

M115と比べてみるとM115のコーン紙の実際の直径が短い事が分かります。
フレームはM115のスチールに対して、130は肉厚のアルミで剛性感たっぷり。
やはりアルニコマグネットというだけで期待感が増してしまいます。

サイズ的にはほとんど同じで、元の穴にすっぽりと収まりました。

早速、周波数特性を測定してみました。



中々良さそうですね。 とくに1k〜2kHzに変な凸凹が無い事に安心しました。
低音に関しては、推奨内容量が180L以上ですので、使用する箱はこの半分以下の容積しかありませんので全く出ていませんが、元々ミッドバスとして使用するのですから全く問題ありません。
だいたい、このシリーズは推奨箱に入れても低音は出ないスピーカーでした。
 肝心の音はというと、やはりM115よりコクのある中身が詰まった音が出ています。 音の輪郭もシャープになり、それに伴い抜けの良さもアップした感があります。

今まで、ボーカルの声を振り絞って歌う場面等で、声の割れ、ビビり、歪等を感じることが一部の音源であり、それがどうしても消せない状態だったのですが、もちろん、このスピーカーでもそれは出てしまうのですが、昔と違って耳の中で割れる様な状態にはならず、少し抑制の利いた音になったように感じます。

これはやはりM115の2kHz当たりの盛り上がりが原因だったのでしょうか。
もしかしたらフェライトとアルニコというマグネットの違いから来るものなのではないのでしょうか。
磁束密度だけでは測れないマグネットの差という物があるのかもしれません。

上記の音の変化でも推察できるように、音の立ち上がり、立下り、特に立下りの部分の時間的短縮がみられ、制動力がアップした事が感じられます。
                                                  2020年4月26日・記 

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