麻瀬憧庵                                 


LCDプレーヤーよりパソコンドライブ


 去年の事なんですが、オーディオを始めた初期から保持してきた機材、並びにレコードを、全てヤフオクにて売り払いました。
それと言うのも、私がポックリ行った場合、これらの機材等は家族にとってただの粗大ゴミ。処分に困るだろうなぁと思い今のうちに売っとこうと思った訳です。

 しかし、やはり何というか未練がありますので、これから先CDだけを聴き続ける事に問題はないのか徹底的にアナログとデジタルの比較をした訳なのです。

ここで三つのソースを聴き比べました。
■一つは当然LPレコード。 再生装置は自作プレーヤー(ターンテーブルはパイオニアエクスクルーシブEM−10、トーンアームはSME3012R、MCカートリッジはデンオンDL103プラス昇圧トランス)
■二つ目はCDプレーヤーによるCD再生。(プレーヤーは古〜いヤマハCDX−1000、これ当時は結構評判良かったみたいですけど)
■最後はパソコンで再生。(普通の WINDOWS パソコン、OSはVista、再生ソフトは iTunes、圧縮なしのCD規格のままのWAVで取り込み)

 まず、レコードとCDプレーヤーでの再生音を比べると、圧倒的にレコードの方が良いですね。
目の前に出現する空気感と申しましょうか、音場感と申しましょうか、奥行きが感じられ、音自体も重さとともに前後の厚さまで感じられるようです。シンバルの音が空中に漂う感じも表現されます。
それに対してCDの音はと申しますと、全体的にそこに現れる音場に奥行き感がなくただ薄っぺらに広がっているように感じられます。音自体の厚みもなく力感が感じられません。特にシンバルの音はどれを聴いても同じようで、鍋の蓋を叩いているように響きが感じられません。
こういう音を比較すると、レコードの方が高域が伸びているという話が出てくるのも仕方がない事なのかなと思ってしまいますね。

とっ、ここまでは今まで聴いて感じてきた事と同じだったんですが、このテストをしている時に思わぬ事に気付きました。

 レコードってある程度以上の音量にするとノイズが目立って増えてきてしまいますし、音も割れてきてしまったりしますので、必要以上にボリュームを上げるという事はない訳でして、そういう習性がCDを聴く時にも表れて、ある程度の音量でなんか物足りなく感じながら聴いていたことが多かったような気がします。

でっ、この時思い切ってボリュームを上げてみたんですが、すると今まで薄っぺらだった音が、急にがっちりとした骨格をもったコクのある音に生まれ変わり、同時に目の前に広がる音場にも奥行き感が生まれてきました。
デジタルってパワーを入れれば入れる程良い音になって行くのかもしれませんね。
でもやっぱり、高域は物足りないまま、シンバルの音はあまり向上しませんでした。

 でっ、次にパソコンと比較したんですが。・・・・
エエ〜ッ!!  さっきのCDプレーヤーの音とは全然違う。これも音量を上げれば上げる程力が漲り、音に命が吹き込まれて行くんですが、高域の瑞々しさがアナログ並みにあります。
Bill Evans の 『Waltz For Debby』というアルバムの5曲目「Some Other Time」では、チリチリと空中を漂うシンバルの余韻がレコードと同じように聞こえます。
更によく聴くと、全ての音がレコードよりも歪感が少なく聴こえるではありませんか。
ほんのちょっとした生っぽさだけがアナログの方が上で、これならばこの先ずっとCDでも良いなという気持ちになりました。
 結局CDプレーヤーで聴く音だけが一番悪いという事でした。
そうなんです、前の章の最後に書いたもう一つの方にある大きな問題と言うのはこれなんです。CDの音が悪いのはデジタルだからという訳ではなく、それの再生装置に問題があるという事なんです。

 CDプレーヤーもパソコンもレーザーピックアップで情報を取り込むところは全く変わらず、バッファメモリーにため込んだ音を水晶発振器に合わせてDACに送り込むまでは同じですから、この高域の違いは何なんでしょう。
一部にはパソコンはエラー訂正を行っているからという事を言う方もいらっしゃいますが、確かに取り込む時は完全コピーですからそういう事でしょうし、ドライブから直接聴く時もそれは同じように行われていると考えて差し支えないでしょうね。しかし、CDプレーヤーでも、かなりの傷などがあってもその部分ではエラー訂正が行われているようで、何事もなかったように再生される事もありますよね。
それではDACの性能差なんでしょうか、それよりもそれ以後の回路の設計、ケーブルの取り回しに問題があるような気がするんですが。
但し、最新のCDプレーヤーでの比較ではありませんので、今の物と比較した場合また違う結果が出るかもしれません。

 このCDプレーヤーは音が悪いという事は、 『PRO CABLE』でも盛んに言われていた事で、私もデジタルはパソコンで聴いていたのですが、この時比較テストをして改めて音の差の大きさに驚かされました。
アナログに比べてCDの音が悪いと思われている方は、是非1度パソコンで聴いてみて下さい。

 後日談があります。
パソコンで聴くと音が良いのは、一度パソコンに取り込んでから聴いているからだろうと思っていたんですが、試しにドライブにCDを入れて直接聴いて、取り込んだ音と比較してみたところ・・・・
違いが解りません。どちらも同じ音に聴こえます。これなら別に取り込む必要はないみたいです。

 更に後日談があります。
その後パソコン内蔵のドライブが壊れてしまいましたので、他のパソコンでも利用できるよう外付けのドライブを購入しました。
でっ、それに付いていたのが1m位のUSBケーブルでした。『PRO CABLE』では、デジタルも劣化するという事を盛んに言っていて、USBケーブルの優劣についても語っていましたので、こんなぼろくて長いケーブルだとさすがに音は悪くなるんだろうなと思ったのですが・・・・
変わりません。この状態でも取り込んだ音源と同じ音に聴こえます。

という事で、安心してアナログ機材とレコード全て完売です。
そればかりか、CDプレーヤー2台もついでに売り払ってしまいました。

 今盛んにパソコンオーディオという事が言われていますね。
これはUSB端子から外付けDAC(デジタル−アナログコンバーター)を通してパワーアンプに繋ぐというような物ですが、別にDACを買わなくても、パソコンのヘッドフォン端子から300円位で売っているRCAプラグへの変換ジャックを利用してパワーアンプに直接入れてあげるだけで素晴らしい音が出てきます。

皆さんも是非1度お試しください。                                 2012年10月8日・記

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