麻瀬憧庵                                 

スピーカーシステム最終調整


 やっと全ての素材がそろったので、最終的な調整作業を開始しました。

どこかを変化させたら、その都度周波数特性を測定し、そして試聴を繰り返し、グラフに表れる形と実際聴こえる音との相関関係を細かく分析し、答えを求めて行きました。

その作業に際して、やはりデジタル・チャンネルデバイダーの存在は絶大で、色々な実験を正確に行える事から膨大な知見を蓄積する事が出来ました。

又、パラメーターのほんの少しの変化も正確に周波数特性グラフに反映してくれるソフトのおかげで、今まで何十年にもわたる経験で積み上げてきた知識や推論の真偽を知る事が出来たのは大変貴重な経験でした。




1)
ウーファーの特性です。
クロスオーバー周波数を176Hzに設定し、−48dB/oct という急峻な遮断特性でカットしてあります。

2)
1)の状態から、イコライジングをして60HZ近辺を盛り上げています。 これ以上やると、部屋がビビります。


3)
130A  クロスオーバー周波数を 176〜556Hzにしています。
600〜700Hzの盛り上がりを避けたいので、この値です。


4)
270Hz当たりの凹みを少し修正しています。
帯域の上下共 −48dB/oct でカットしてあります。

5)
2482のイコライジング後の特性です。上の方はフェノリックダイアフラムの音を楽しめる様にほぼ再生限界まで使っています。 素の特性は1kHzから下ではなだらかに低下しているので、下側を持ち上げる様にイコライジングしています。

6)
2402の10kHz中心の広範囲な山をイコライザーで平坦にしていますがそれ以上のピークは残っています。


7)
上の状態で、上下を急峻にカットし、平坦な特性を得ています。


8)
左チャンネルのスピーカー特性です。
リスニングポイントに座った場合の左耳の位置にマイクを置いています。 ハイルドライバーもイコライジング済みです。

9)
右チャンネルのスピーカー特性です。
左右の特性に違いがあると、センターに浮かぶ音像が左右対称にならず違和感を感じますので、シビアに追い込んで行かないといけません。 これではまだまだ完璧とは言えませんね。
 ここまで実験を続け、周波数特性の平坦さを追求してきた過程で、やはり、今まで見過ごしてきた500〜800Hz当たりの盛り上がりが音の品位に及ぼす影響を、はっきりと認識する事ができました。

グラフに表れた小さな凸凹を、クロスオーバー周波数を10Hz単位で変え、肩特性を僅かに変える事でより平坦にしてやると、それが面白い様に音に現れるので、更に良い音を求める行為が止まらなくなってしまいます。

又、出力ゲインを変える事でも音の表情が変わりますので、これらいくつかのパラメーターを弄りながら進めるのは大変時間が掛かるのですが、その先に出現するであろう音に思いを馳せる楽しみから逃れる事は出来ません。

さらなる高みを目指して、これから先も楽しい格闘は続きます。

                                               2020年4月30日・記

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