麻瀬憧庵                                 


Rスピーカースタンドの欠陥発覚


 Qの状態で聴いているうちに気になる事が出て来ました。
それは目の前に広がる音場が少し遠い所に存在しているという事でした。

 クラシックを聴く方はおそらく気にはならない事だとは思うのですが、私はもっぱらジャズを聴いていますので、トランペットやサックスがもう目の前で炸裂してくれないと満足できません。
同じくボーカルも手を伸ばせば顔に触れてしまうという位の距離感が好みですので、この状態ではちょっと物足りない気持ちが強かった物ですから、スピーカーケーブルでの調整等を試みたのですが、一向に改善する気配が見えませんでした。

そこで、昔使ったオーディオチェックレコードを引っ張り出して来て、周波数特性の測定をしたところ、なんと 6,000 Hz 以上でダラ下がり傾向になり、高域はもう耳に届いていないという事が分かりました。

 このスタンドを使用すると、リスニングポイントの上側に向かってスピーカーの軸が伸びるのですが、特にツィ−ターの軸は、頭のはるか上を通過して行きます。
ツィ−ターの指向特性は高域になるほど狭くなるのですが、特に上下の指向特性は、左右の指向特性に比べて更に悪化しますので、このような状態ではほとんどツィ−ターの音は耳に届いていないばかりか、ドライバー(中音用SP)の周波数特性も指向性の問題により悪化しているのでしょう。

 このスピーカースタンドを販売しているサイトの説明で、「このスタンドによる音響の調整がうまく行くと、どこで聴いても同じ音になる」 と書かれているのですが、これが正に高音がリスニングポイントに届いていないという事の証明となる記述ではないでしょうか。
結局どこで聴いても高音は耳に届いていないので、位置による周波数特性の変化は生じず同じ音になるという事なのでしょう。

 又、「ツィ−ターの音は直接聞いてはいけません。壁からの反射音を聴くようにしなければいけません」 とも書かれているのですが、何故、高音だけが反射音でなくてはいけないのかの説明は全くなく、上記の欠陥を棚に上げて納得させようとする、非常に理不尽な記述であると思いました。

 このサイトの全面的な信奉者さんやお客さん等から色んな書き込みが来ている訳ですが、その中で、「カーテンを開けると歌手が庭に立っているのではないかと思えるような生音が出現した」 というようなことが書かれていましたが、音場がそんな部屋の外に出現する程高域が減衰しているという事で、そのような音に満足するという事は私の好みからは到底できない事でした。

そこで試しにツィ−ターの置き方を変え、高音が耳に直接届くようにしたところ、推察通り目の前に音場が近づき、ブラスがスピーカーの真上で生々しく鳴るようになりました。

 という事で、この時点で、コーナーの処理を音響補正ボックスで行えばよいという事がはっきりしましたので、スピーカースタンドは外し、以前の普通の置き方に戻し、ツィ−ターの軸がちょうど耳の位置に来るようにセッティングしました。

この項『S音響補正ボックス3−至福の音へ』へ続く


2012年12月3日・記


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