麻瀬憧庵                                 



            

D定位の良さとは


 良く聞く言葉ですよね、定位が良いとか悪いとか。

よくフルレンジユニットは定位が良い、って、言われる事が多いんですが、ほんとにそうなんでしょうか? 
ただのイメージから来る決め付けではないんですか?

定位の良さって実際どういう事なんでしょう。

 たとえば、ドからレ、ミ、ファと音階が上がっていく場合を考えてみましょう。
ドでセンターに位置していた音がレで右に、ミで左に、そしてファでセンターに移動したとすると、その原因は、左右のスピーカーの音圧差にあります。
つまりドとファでは左右の音圧が同じなのに、レでは右スピーカーの、ミでは左スピーカーの音圧が高いから、音が音圧の高い方に移動する訳です。

 つまり、左右のスピーカーの周波数特性が同じであれば、音が左右にぶれる事はないという事で、逆に言うと、左右のスピーカーの周波数特性は必ず同一にしないといけないという事なんです。

 又、これはあまり目立たない事なのですが、左右と同じように、前後に音がぶれる事があります。
よくあるのは、低い音から高い音に移動する場合に、だんだん自分に近づいてくるように聞こえる事。
これは、スピーカーの周波数特性の低音部、中音部、高音部のバランスが取れていないという事で、上の場合は、低音部より、中音部、高音部の方が音圧が高すぎる状態です。

このように、今、目の前に出現している音が持っている色々な表情のほとんどすべての原因がスピーカーの周波数特性にあるという事なんです。

周波数特性をアジャストする作業を続けていく過程で、音の濁りや、ノイズ感等、アンプその他に起因する症状だと思われていたことが、どんどん消えていくという経験をします。

次のE章で、スピーカーの周波数特性を最高の状態にアジャストする方法について書きますが、その前に一つ。

上にも書きましたが、左右の周波数特性は同一にしなければいけないという事。

 一般的な部屋で聴く場合、部屋の音響環境の影響を強く受けます。
つまり、スピーカーからの音だけでなく、部屋の中で反射した音との合成音を聴いているという事です。
という事は、部屋自体も左右対称でなければいけない。できれば左右の壁には窓のない部屋の方が良いでしょう。
当然スピーカーの位置も左右対称、リスニングポイントは正確にセンターに位置取りする。

こういう条件を整えた上でスピーカー特性をいじくる方がアジャストしやすいでしょう。

ページトップへ                         前へ         次へ