麻瀬憧庵                                 

JBL2402導入


 JBL2482導入以来、楽しく音楽を聴いていたのですが、ほんのちょっとだけ不満というか違和感を感じてしまうようになりました。

それは特に楽器の上の方の音、高域の部分に何か異質な物を感じてしまうという事なのです。
特にピアノの場合顕著なんですが、何か響きや余韻が基音と趣が異なる様な違和感。 基音の方はアコースティックな音色なのにその周りに広がる響きにはちょっとメタリック感が混じってしまっている。 これを常に感じるようになり、ちょっと落ち着かない気持ちになりました。

周波数特性的にはそんなに気になる様な凸凹は無いのに、実際、音を聴いた時に違和感を感じるのはどこに原因があるのだろうと考えた結果、もしかしたらダイアフラムの材質の違いにあるのではないかと思えるようになりました。

JBL2426のダイアフラムには、最近流行りのチタンが使われているのですが、これが発する音色はフェノリックダイアフラムのそれとはまったく違い、この二つはあまり相性の良い組み合わせとは言えないのではないかと思えました。

2426を外し、ハイルドライバーを5kHz位から使う事も考えたのですが、これも下の方の特性はかなり暴れているので、やはり5〜10kHzをカバーするドライバーかツィーターを新たに探す事にしました。

2482と同じフェノリックダイアフラムを使ったJBLの1インチドライバーという物も存在するのですが、やはり高域の伸びは悪く、8kから9kHz位でツィーターに繋がなければいけない様でしたし、だいたいヤフオクにもめったに出てきません。

という訳で、結局使う事にしたのはJBL2402というツィーターでした。 ダイアフラムはアルミ製ですが、2482を上限までめいっぱい使い、こちらを5kHz以上で使えばチタンよりはましではないかと思いました。












 これは、元々は075という今でも大変人気のあるツィーターのプロフェッショナルシリーズ版で、2,5kHz位から使えると言われています。 オークションでは075よりだいぶ安い価格で取引されています。

外見はとてもひどい状態でした。 黒い塗装は錆やハゲ、傷等も多く、砲弾の様なイコライザー部もくすんで輝きをなくしていましたが、コンパウンドでちょっと磨きなんとか見られる程度にはしました。


清掃の為分解したところ、以前2405のダイアフラムを交換した時と同じく、塗装のカスがダイアフラム上に一杯落ちていました。

片側のダイアフラムには歪が発生していました。 おそらく前持ち主がイコライザーを外そうとして、それを留めている後部のネジを緩めずにイコライザーを捩じってしまったのでしょう。

ダイアフラムを一旦外し、ボイスコイルを入れるスリットを清掃してから汚れを落としたダイアフラムを再び慎重にスリットに戻したら、初めの状態に組み立てます。

本当は縦並びにしたいのですが、うちの今のセットでは上に行き過ぎてしまうので、ハイルドライバーと横並びにする事にしました。

裸特性です。



1個目測定したら上の様にとんでもない特性でしたので、不良品かと思ったのですが、もう一つも同じようなものだったので元々こんななのでしょう。
下の方がダイアフラムが歪んでいる物かもしれません。

昔ジャズ喫茶で075を使ったシステムの音を聴いた時に、シンバルの音があまりに生々しかったので驚いた記憶があるのですが、この10kHz中心に10dBも盛り上がった特性のせいだったのかもしれませんね。
 この様な特性では、アナログ方式のチャンネル・デバイダー使用では扱いに困るでしょうが、デジタル・チャンネルデバイダー使用なら何とか使いこなせるでしょう。

実際音出ししてみるととても良い感じです。

2426で感じていたメタリックぽい響きからくる違和感はほとんど消えています。 やはりダイアフラムのせいだったのでしょうか。 但し、これもアルミという金属ですからフェノリックダイアフラムの音とはちょっと違うはずなんですけどね。

もしかすると、マグネットの違いの方が影響大なのではないでしょうか。

ミッドバスをM115から130Aに変えた時に、音が締まり、音の輪郭部分の濁りが取れシャープになったように感じたのですが、その時この差はフェライトからアルニコに替わったマグネットの差なのではないのかと漠然と感じたのですが、今回も同じような音の変化を感じましたから。

一言で言うと、ダンピングが利いて音の立下りが良くなった事により音を濁らす要素が減りシャープな音になった。
異質な響きが余計に響く事なく消えてくれるので違和感を感じなくなった。 っという事なのではないのでしょうか。

                                                2020年4月29日・記

ページトップへ                         前へ         次へ