麻瀬憧庵                                 

Oスピーカースタンドの実験


 さて、ここから音響について話を進めてまいりましょう。

H音が消える』の中で書きました、部屋の中での反響音と呼ばれる反射音の中でも一番悪影響を及ぼすと思われる、コーナーからの放射音の影響から逃れる方法をどのように手に入れて行ったのか、詳しく説明致します。

C必要十分条件』で触れました通り、初めに部屋の音響を改善しておくのがよろしい事とは思うのですが、スピーカーの周波数特性が悪い場合、これからお話しする事を導入してもあまり良い変化は感じられないかもしれません。

という訳で、スピーカーの周波数特性を改善した後で次のような事を行うと違いがより鮮明になるのではないかと思い、説明が後回しになりました。

 私が、部屋の音響を改善する事により目の前に音場が現れ音が劇的に良くなる事を知ったのは、今から5年程前の事でした。

やはりここ、 『PRO CABLE』のサイトで「音響の最終回答」なる言葉で紹介されているスピーカースタンドが売り出されました。
4本のスタンドの長さが全て違い、スピーカーを斜め上方に向けて設置するという物で、激しく興味をひかれました。

何事も実験派の私は、とりあえず試してみようという事でホームセンターで建築資材を見繕ってきて、当時使っていたスピーカーを載せてセッティングしてみました。
SPスタンド

セッティング1

セッティング2

セッティング3
この様に高さの違う4本のスタンドの上に乗せ、斜め内側上方に向けて音が放射されるようにセッティングします。

と言っても適当な高さを選べばよい訳ではなく、スピーカーボックスの外側、下側の面の延長線が全て後ろのコーナー1点に向かうよう、又、背側の面の延長線は、後ろの上側のコーナーに向かうようにセッティングしなければなりません。

サイトの説明では、コーナーからの反射音を壁とスピーカーの面とで作るストレートホーンから放射させる事により、定在波が発生しないというようなことが書かれているのですが、そもそも定在波とは、部屋の向き合う並行壁間には必ず発生してしまう物ですので、これは全く納得のいく説明になっておらず、これだけ読むと眉つば状態になってしまうのですが、何はともあれ試してみなければ気が済まないという私の性分からトライしてみました。

コーナーとスピーカーの面とを合わせる為に、サイトでは釣竿を使ったり、レーザーポインターを使用するよう書かれているんですが、私はコーナーにビスで麻縄を1本留めました。これを引っ張り、面と添わせることでセッティングを進めて行きました。

左の画像は右側のスピーカーの位置決めの方法です。

2枚目の画像はコーナーに取付けた紐を引っ張り、底面の延長先がコーナーと一致するかを確認している作業です。底面のどこに添えても紐が曲がらないような状態にしないといけません。写っている4本のスタンドのネジを回転させて高さを調節していきます。

スピーカーの側面もコーナーから紐を引っ張り確認していきます。下のほうも上のほうも全てのところで正確に面出しをしていかなければなりません。

左の画像は天井のコーナーに取付けた紐を引き後ろ面の確認をしているところです。この面もどこに紐を当てても正確にまっすぐコーナーを目指していなければいけません。

出来上がった状態は一番下の画像のようになりました。

この作業は闇雲に行ってもできる物ではありません。
まず図面を引いて、スタンドを置く位置とその高さを計算により出しておかなければなりません。
斜め置きセッティング その上で微調整により正確な位置決めをするという非常に細かい作業になります。

 ※このセッティング方法を知人に紹介する時に作成した、        各数値の計算方法こちらに掲示しておきます。 



 と、ここまでやって音出ししたところ、最初の感想は 『あれえ、なんだこれ〜、なんか変』 という物でした。なんと言うか今まで聴いた事のないというか、味わった事のないなんか不思議な気分なんです。そのうち、目の前に風景の様な物が広がっている事に気付きました。

『もしかして、これが音場と言う物なのか?』 と、これが正に初めて音場感を味わった瞬間でした。聴けば聴く程、これはすごいんではないのかという気になってきました。

 但し、聞き込んでいくうちに物足りないというか、あのサイトに書き込まれているほどの効果は無いなという気になっていったんですが、これはもしかしたらうちのスピーカーの形状に問題ありかもと思いました。写真でお分かりのように二つの箱を積み重ねていますので、正確な面が出ていないのでしょう。特に後ろ面は全くホーンにはなっていないでしょうから。
とっ、ここで、ある事を思いつきました。
この項「P音響補正ボックス1」に続く


2012年11月30日・記


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