麻瀬憧庵                                 

検証報告その3 今度は想定外!!


 検証報告を頂いた前御二方以来、7,8人の方から作ってみたとのご連絡を頂き、それぞれ好結果を得たとのうれしいご報告を頂戴致しました。
皆様、独自のアイディアを盛り込み、部屋や使用材料に合わせてサイズや形状等変化させたりして製作したボックスの画像を添付して下さいました。

その中で、つい最近届いた製作記は、私が全く想定していなかった材料を使用して同じ様な効果が発揮されたという物で、使用材料にこだわることなく、こんな手近な物で十分な効果が得られるのならもっと気楽にたくさんの人にトライしてもらえるのではないかと思い、このページへの掲載をお願いしたところ快諾して頂きましたので、早速、メール本文と画像をここに掲載させて頂きます。

                                                   2020年11月6日・記 

ファーストメール
 2020年10月25日
簡易音響補正ボックス他の製作報告

初めまして○○市の○○と申します。

貴ホームページのマイホビーページにご紹介された音響補正ボックス他の記事、興味深く拝見しました。

これ良さそうだが、製作が結構大変そうでそのままやり過ごしていました。

しかし、ひょんなことから加工が簡単な段ボール箱で製作し同様な効果が確認出来ました。


またシルヴァン擬きとアンク擬きも勢いで安直に全てハサミやカッターナイフと接着剤等で製作してしまい、効果を確認出来たのでお礼と報告を兼ねてメール致しました。

キッカケはゴミの日に邪魔な段ボール箱を解体しようと見ていた時に音響補正ボックスの事を思い出し、これで簡単にテスト出来ないかと手許にあった段ボール箱で2個製作し効果を確認してしまったことです。画像1-2


まずスピーカー設置壁の天井コーナー2箇所で試したところ、主にスピーカー後方壁全面と天井面からも音源に含まれている残響エコーが拡がって聞こえるのが確認出来ました。

固定は、1個数100gの軽さなので、天井壁に1個につき小びょう釘(0.9mm径 13mm) 3本です。尤もしっかりした木製とどの程度違うのか現物が無いため判断つきませんが、エコー成分に関しては充分に効果があります。

そこで部屋全体にエコーが拡がる事を期待し、後方天井コーナー4箇所にも設置。画像3(天井梁の出っ張りで、コーナーが4箇所ある)

しかし後方は耳が主に前の音を聞くように出来ているせいか、スピーカー設置側ほどの効果は感じられないが有るほうが良いかなといった感じでしょうか。

    

これに気を良くし次に効果が大きそうなアンク擬きの擬きを製作しようと、加工が簡単そうな水道管の断熱保護材の発泡スチロールφ40で2.1m長  (@200円弱)をホームセンターで購入。この表面に音の反射効果を出し壁紙の色に近い白色布ガムテープ貼りした物を必要本数分製作し、スピーカー中央部壁に設置しました。

これも貴方の記事を参考にφ40長さ50cm円柱をこの太さから70mmピッチに前後ズラして並べ製作しています。上下の円柱固定部も加工の楽な段ボール製で、強度と音の反射を考慮し四角柱でなく直角三角柱状に製作しています。(段ボール表面はパソコンで壁紙模様に印刷したシール紙仕上げ) 画像4-5

  

効果は全ての音像にピントが合った様に生々しくなり、歌手の声は本当にそこにいる様で、その効果はアンク擬きのある場所だけではなく、アンク擬きと左右スピーカー間は全ての音像がその様に聞こえ、マイク直近録音の音源はそこに居るかの様です。この音を聞くともう元に戻せません。 まるでアンク擬きを設置することで異次元ポケットができた様です。

リスニングポイントからスピーカー音源位置までの距離で円弧状の軌跡を描くとアンク柱の前面位置付近に重なり、この位置関係が作用しているのかとも思われます。

(同軸2ウェイスピーカーをマルチチャンネル化し、奥にあるツイータ振動板近くにディレイで低域音源位置を合わせています。)

またミニシルヴァン擬きもその後、このアンク擬き同様に製作し左右壁に設置しました。 画像6-8

    

こちらの効果は貴方のご指摘の通り音域下限が低域側に伸び、より低域の響が聞こえる様になり、音源によってはジャズ系のピアノの低弦の響きの音像がスピーカーの前の空間に出来る事もありライブ演奏の様な不思議感覚で聞けます。


またオーケストラ物ではコントラバスのボディーが共鳴している響感が聞こえる様になりました。

この状態はミニシルヴァン擬きの設置高さとリスニングポイントで変わる様でどこが良いか暫く様子見です。

この様な音も全部スピーカーからは出ていたが、部屋の共鳴と反響などでマスクされてしまい聞こえなかったのでしょうね。


工作物全てが簡易的擬きで恥ずかしいですが、音源に含まれる残響音の拡がりと拡散効果で音像の遠近感も良く生々しくなり、素晴らしい改善効果がありました。

良いアイデアの公開をして頂き、本当にどうもありがとうございました。

                                                                                                                                                                 以上


何と、段ボール使用の製作記でありました。

コーナーからの放射波をリスニングポイントに向かわないように壁、天井方向に振り分けてあげればよいのですから、この様な材料でも十分な効果を発揮してくれるのですね。

これなら材料費最小。 失敗しても痛手無し。 工作も楽ですね。

更に、シルヴァンやアンク擬きに使用した材料の発泡スチロール製の断熱保護材、良く考えたら私が使用した塩ビパイプより効果を発揮するかもしれません。
ただ乱反射させるだけでなく、これなら吸音効果もあるのではないでしょうか。 

実際、私がこれらを設置した時に感じた効果より、更に一歩進んだ効果を得られている様な感想が書かれていますから、これは大お勧めですね。

私の返信
 2020年10月25日
Re: 簡易音響補正ボックス他の製作報告

○○様、こんばんは。
麻瀬憧庵の塚本と申します。

詳細なご報告ありがとうございます。

段ボール製で同じ様な効果が得られるとは全く思いもよりませんでした。

アンク擬き、ミニシルヴァン擬きもこのような材料で製作されるとは、何という閃き!

これら本物を買うと70万円ほどするはずですので、コストパフォーマンス最高ですね。
やはり、アイデアと行動力に勝る物はありませんね。 素晴らしいです。

ところで、今まで同じ様に試してくれて結果を報告してくれた方が10人ほどいらっしゃるのですが、その中で、最初に試してくれた長野の大工さんと、形状を工夫して設置しやすいアイデアを出してくれた方と2名様のメールを当ホームページの関連ページに紹介させて頂いたのですが、この段ボールで作る青山様のアイデアも当ホームページで紹介させて頂けないでしょうか。

やはり、木材を使用して作るのは、私が考えていた以上にハードルが高い様で、家を建て替える時に大工さんに依頼した方もいらっしゃいました。

この段ボール製なら費用も掛からず、製作も比較的簡単で、失敗しても痛手にならず、たくさんの人が挑戦してくれるのではないかと思います。

部屋の音響を改善する事により異次元の空間が出現する事を沢山の人に経験してもらいたくてこのホームページを作ったのですが、この段ボール製の補正ボックスの成功例を紹介する事により、今まで抱えていたオーディオの悩みから解放される人が続々と出現するのではないかと期待してしまいます。

という訳で、もちろん、名前などは載せないよう細心の注意を払いますので、メール本文全文と添付画像の掲載をご許可頂けますようお願い致します。

それでは、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

塚本 孝司

第二通
 2020年10月26日
Re: 簡易音響補正ボックス他の製作報告

塚本様 こんにちは。
早速のご返信有難うございます。

 貴ホームページ掲載の件、こんな報告で宜しければどうぞお使い下さい。


もし追試される方のために、以下に段ボールボックス製作の要点を追加します。

1.ホーン部分では糊しろを大きく取り、2枚重ねになる面積を広げ強度を上げる様に工夫する。

2.折り目の谷部には鉄ベラなどを体重をかけて押し付け、折り目をシッカリ作る。

3.糊代同士が重なる部分は、角を頂点にして糊代を三角状にカットして糊代の重なりを無くす。

4.アンク擬き用に段ボールで三角柱を正確に作るには、段ボール同士が重なる部分の寸法は、
   厚みを考慮して小さくする。


 修正が必要になりそうな部分は、100均で入手出来る「しっかり貼れて剥がせる両面テープ」が便利。まあ多少歪んでいても効果に大きな影響はないと思うので、是非チャレンジして欲しいところです。
以上

何卒宜しくお願いいたします。


掲載許可のご連絡と共に、段ボールボックス制作における注意点も詳しくご説明頂き、両面テープの銘柄まで教えて頂きました。

どうでしょう、これでボックス制作のハードルは随分下がったのではないでしょうか。 皆様にもこの製作記をご参考に、ぜひトライして頂きたいと思います。 

至福の音が訪れますよ。


 2020年12月7日
追加報告頂きました。

 更に、市販のカラーボックス部材を利用して製作した、スピーカー後方の補正ボックス制作記も送って下さいました



 2020年11月30日
カラーボックス利用の音響補正ボックス

ダンボール音響補正ボックスの○○青山です。

検証報告そのB読みました。

お忙しい中のアップ、どうもありがとうございました。


私が安直に作ったアンク擬きの効果ですが、おっしゃるように偶然使用した断熱用発泡スチロールの振動減衰効果で付帯音が少ない事が関係しているかもです。表面処理した状態で指で弾くとポッと音が尾を引かず共鳴しない感じです。

ところでその後、スピーカーコーナー床用の音響補正ボックスをカラーボックス部材から製作し望外の好結果が得られたので経緯他をご報告します。

前報告の通り、各天井コーナーの補正ボックスとアンク擬き他は工作の比較的容易な材料で出来ましたが、スピーカー近くの床コーナー用ボックスは、低音振動の音圧が強くダンボールでは音が濁って駄目だろうと予想し、簡便なテストでもこれを確認し手付かずでした。

最近カラーボックスの残骸でデッチ上げたシルヴァン擬き用スタンドを見ていて、此れなら各部の寸法も裁断済みで揃っているので、上下の天地板があれば音響補正ボックスが出来てしまうと閃き実行してみました。

また右スピーカーの壁コーナーとの距離が狭く、音響ボックス設置は無理と思い込んでいましたが、ほぼ二等辺三角形なら設置できると分かり、寸法的に使えそうな組立式カラーボックス 2個を購入、作業が楽になるよう工作画像1,2の通りホーン頂点はヒンジで繋ぎ、下記の@〜Bの条件で効果を確認してみました。

 


@ 2枚の側板のみ(天板なし)で開口ホーンのまま。(これで良ければ手間なしで済む)

   効果〜壁面がホーンの延長となり、中音〜低音域が壁面に広がる感じがする。

   中音〜低音が強くなりバスドラムがドスドスと迫力が凄いが、聴き疲れする。

A 開口部の既に裏板用に加工された溝にカラーボックス用裏板(3mm厚)を差し込み塞ぐ。

    内部に吸音材として100均の手芸用ポリエステル綿と換気扇フィルターや空気入りポリ袋
    の梱包緩衝材を適当に満たす。

   効果〜低音の音域が低い方に伸びたまま、ほど良いバランスに聞こえる。

B Aに適当な板で上部を塞いだ。

    効果〜Aの効果のまま靄が晴れた様に低域から高域まで全域が明瞭になり音像がより明確になる。

    音源の残響音もより明瞭になる。

    オーケストラ演奏で目を閉じるとスピーカーの後ろの壁が消え、
    音源によりある位置に音像が出来、そこで演奏しているように聴こえる。

    そこで目を開けると壁がありアレッ!?と思う。

    @Aの状態でも音源の残響音は広がって聞こえるがBの様に明瞭ではない。

この結果からBの構造に決定し工作画像3,4の様に仕上げました。

またドアが内開きで出入りの際に音響補正ボックスが邪魔になり、移動し易い様に天板を完全な三角形にして位置合わせを楽にしました。

 

Bの完成形を設置してみるとコントラバスやチェロを弓でボーイングし、ボディーがブンブンと響く音が低音の基本波と響きの高調波が明瞭で更にリアルになり、スピーカーでもこの響が聴けるのかと感激しきりです。

やはり床面用は手抜きが出来ず、貴方の製作例の音響補正ボックスと同じ様な構造が1番良いと分かりました。またスピーカー直近床コーナーが最も音響を濁らせ、影響が予想以上に大きい様です。

天井4コーナーとアンク,シルヴァン擬きに加え、スピーカーコーナー床面まで音響補正ボックスを設置した部屋の音響は本当に不思議で、レコーディングスタジオやホールで目の前の演奏を聴いている感覚になります。

しかし音像がリアルになってしまうと、ポップス系等のスタジオマルチマイク収録では、多数の音源の電気処理ミックスのためか音像が重なってしまい、左右に広がるピアノの中にベースやドラムセットがあったりと現実ではあり得ない滅茶苦茶な状態も露わになり・・アレレ?となるのがちょっと残念です。

最後にもう一度、本当に素晴らしいアイデアを公開して戴きありがとうございました。


 やはり、床面用のボックスは段ボールでは不都合の様で市販のカラーボックス部材を利用された訳ですが、只の三角形でも同じ様な効果が得られているようですね。

スピーカー裏のコーナーからの放射波が一番悪影響を及ぼしますから、この部分には是非とも設置してほしいのですが、この方法ならば相当ハードルは低くなるのではないでしょうか。

更に、カラーボックス購入時の注意事項も書いて下さいました。

『既製品のカラーボックスに"Nボ◯クス"という差し込むだけで完成するbox家具があり、連結部に固定金具を内蔵しているので、もし金具を強引に切ろうするとノコが弾かれ怪我されるのではと危惧します。
なので利用するボックス家具は、昔ながらの木ネジ固定式を推奨しておきます。』

との事ですので、皆さん、怪我等なさらない様お気を付けて製作して下さいね。


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