又キタ〜!! 検証報告その2
3年前の6月に初めて音響補正ボックスの製作にトライしてくれる方が現れ、その時の製作、および試聴記を
『キタ〜!! 検証報告』に掲載させて頂きました。
その後、何人かの方にメールでご連絡を頂いたり、なかには当店までおいで下さった方までいらっしゃるのですが、結局、実際に作りましたという方は現れてくれなかったのですが、つい先日、お二人目の製作者が現れて下さいました。
早速、メール本文と画像の掲載許可を頂きましたので、ここに掲載させて頂きます。
2017年8月4日・記
ファーストメール
宛)麻瀬憧庵 様
初めまして。◎◎県△△市在住の○○と申します。
突然のメールにて失礼致します。
ひょんな事からこちらのホームページを拝見して、私も「音響補正ボックス」に
大変興味をひかれましたので、筆を取らせていただきました。
実は今年の春に引越しをして、まだ部屋のオーディオをセットアップしている
最中なのですが、ぜひ私もこのボックスを作ってみたいと思いましたので、
一言ご連絡をさせていただいた次第です。
それほど大したシステムを持っているわけでもありませんが、ホームページに
書かれている「音楽聴いていると眠くなりませんか?」という経験にもとても
共感できるものがありまして、そういう部屋に仕上げたいものだと思っております。
まだセッティングの途中ですし、引越しの片付けもなかなか終わっておらず、
作りたいとは言ったものの出来上がるのは数ヶ月先になるのではないかと思います。
書斎を兼ねた部屋でもありますので、それほど自由度もありませんが、少しでも
いい音環境に出来ればと願っております。
こちらのホームページのおかげで、出来上がりを想像しながら久しぶりにワクワク
しておりますので、お礼というのもおかしな話ですが、一言お伝えしておきたい
と思いメールさせて頂きました。ありがとうございます。
日曜大工が得意でもありませんので、なかなか図面通りには行かないかもしれま
せん。板の接合部の角を綺麗に揃えるのは難しそうですので、正面には吸音材を
貼って誤魔化そうかと思っております。
また、コーナーを合わせるのが大変そうに思いましたので、天井側の台形の板を
三角形にして、その頂点を部屋の角に押し当てるようにすれば、設置も楽になる
のではと考えております。
色々とつまらない事を書き連ねてしまい、申し訳ありません。
機会がありましたら、また後日ご報告などさせて頂こうかと思っております。
それでは、長文にて大変失礼いたしました。
良い年をお迎えください。
私の返信
○○様、初めまして。
麻瀬憧庵店主の塚本と申します。
ホームページをお読み頂きありがとうございます。
興味をお持ち頂き製作に着手されるとの事、大変うれしく思います。
自分の部屋に出現した音場の素晴らしさをオーディオファンにお知らせしたいと思い作ったホームページですので、この様なメールを頂くのはとても大きな喜びです。
私が作った物もあまり細部に神経が行き届いているとは言い難い物ですが、音の変化の度合いにはそれ程仕上げの良し悪しは影響しないと思いますので軽い気持ちでお試し下さい。
> また、コーナーを合わせるのが大変そうに思いましたので、天井側の台形の板を
> 三角形にして、その頂点を部屋の角に押し当てるようにすれば、設置も楽になる
> のではと考えております。
これはとても良いアイディアですね。
実は私も、だいぶ後になってからこのデザインに気がつきました(笑)
以前、長野の大工さんが試されてくれて、その時のメールでのやり取りも載せているのですが、この中で、天井部の斜めの部分はつくらず、左右に反射音を振り分ける形状の物を作って頂いていますのでご参考にされて下さい。
どのような試聴結果が出るか楽しみにしておりますので、完成されましたらご一報頂けましたら幸いでございます。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
塚本
第二通
宛)塚本様
こんにちは、◎◎の○○です。
早速返信を頂きまして、ありがとうございます。
長野の大工さんとのやりとりは何度も読ませて頂きました。
コーナーの合わせ方については、もちろんレーザーなどの道具は持っておりませんし、
自分の考えで塚本さんの設計意図に合っているのかどうかちょっと不安だったのですが、
下記の回答を伺ってホッとしました。(笑)
完成は大分先になってしまうと思いますが、その時は是非また感想など送らせて
頂きたいと思います。GWか、遅くとも夏までには、、、 (汗)
よろしくお願いいたします。
第三通
宛)塚本様
◎◎の○○です。
暑い日々が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか?
以前メールさせて頂いてから、半年以上過ぎてしまいましたが、ようやく音響補正BOXが完成して
設置が終わりました。
出来上がりは写真の様な感じで、天井面はコーナーにぴったりと当てるために三角形にしております。
正面部分には、なんとなくですが、反射が少しでも減るかなと思い、一枚吸音材を貼って見ました。
天井四隅とスピーカー後方にBOXを設置して、早速聴いて見ましたが、、、
確かに、びっくりです。
うまく表現できませんが、
何よりもまず、音の響きが今までとまるで違います。
乱暴な言い方をすると、サラウンドのスイッチを入れた様な感じと言ったらいいでしょうか?
それぞれの音の輪郭がはっきりとしているのですが、ボーカルや各楽器が出す音がとても良い響きを
纏っている様な感じになって、広がりを感じます。
また、楽器をより近くに感じられる様になりました。
音に包み込まれる様な感じがなんとも心地よいです。
とにかく、今までと違うシステムで聴いている様な感じになってしまいました。
今は手持ちのCDを片っ端から聴き直して見たい衝動に駆られています。
随分時間がかかってしまいましたが、BOXを造る間もかなり楽しめましたし(家族からは白い目で
見られてましたが…)、これから色々な音楽を聴き直すのがとても楽しみです。
本当にありがとうございました。
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添付されていたのが左の画像です。
上下面の一方を三角形にする事により、セッティングを非常に簡単にしていますね。
私も少し後に思いついたのですが、当時はサブロクの板1枚から切り出す事を優先に考えた事により、あのような設計図になってしまいました。
前面に吸音材が貼られているようですが、この部分どのように作られているのでしょうね。
更には次のような文章と画像が。 |
ついでと言ってはなんですが、リスニングポイントで周波数特性を測って見たので一緒に添付します。
iPhoneのソフトですので、何処まで正確かわかりませんし、設置の前後でスピーカーの位置も変更して
いるため、純粋にBOXの効果だけを測った結果ではありませんが、
設置前は160Hz辺りに大きな落ち込みがあって、全体的にもデコボコしていた波形が、設置後は
大きなデコボコも減ってかなりフラットな波形になりました。
ちなみに画像はサインスイープを使って周波数特性を測定したものです。
(ピンクノイズでもほぼ同様の結果です。)
オーディオラックの関係でスピーカーの配置にあまり自由度がないのと、映画などを楽しむために
正面に大きなディスプレイが存在するので、なかなか難しいところはありますが、音楽を楽しみ
ながら、また少しずついい音を目指していければと思っています。
改めて、どうも有難うございました。
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スマホでこんなのが測定できるのですか?
携帯さえ使えない身としては全く見当がつかないのですが。
かなり滑らかな特性に変化しているみたいですね。
測定の前後でスピーカー位置が違うとの事ですので、高域の能率が上がったのはそちらのせいかも知れませんね。
元々、素晴らしい特性のスピーカーなのでしょうね。
ただ、音響補正ボックスの真の効果をみるためには、2kHz以上でもっと密に測定しなくてはいけないでしょうね。
位相差のある音波により高域に行くほど山谷が顕著に出ますから、その凸凹が緩やかな波になっているのではないかと思うのですが。 |
私の返信
○○様、こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
完成されたんですね。同じ物を6個作られたんですね。
これ、正面の吸音材の分、前面の板は内側にオフセットしてあるのですよね? うまく作ってありますね。
あの三角形はいいアイデアですよね。これでセッティングが非常に簡単になりますものね。
設置後の音の変化もお気に召して頂けたようで私もほっと一安心しています。
>乱暴な言い方をすると、サラウンドのスイッチを入れた様な感じと言ったらいいでしょうか?
うちの部屋で初めて音を聴いた人の何人かはサラウンドシステムだと思っていました。
上にぶら下がっているボックスはスピーカーなのだろうと考えたそうです。
>ボーカルや各楽器が出す音がとても良い響きを纏っている様な感じになって、広がりを感じます。
この表現がまさしく私が感じているものと同じです。
目の前で出た音が自分を包みこんで、部屋の後ろ側まで回り込んでいくような、そんな今まさにその現場に自分が存在しているような臨場感。 たっぷり味わって下さい。
周波数特性を測定されたんですね。
これ見るとかなり滑らかでフラットな特性に変化しているみたいですね。
私は昔のレコード時代に測定レコードを持っていたんですが、その時は1/3オクターブバンドでしたので、非常に大雑把なものしかわからなかったものです。
今は全く測定装置などは持っていないのですが、耳で聴いてこれほどの変化があるという事は、実測した場合も相応の違いは出るのだろうな、っと思っています。
特にコーナーからの放射波の影響が顕著に出る高域での山谷が、かなり無くなっているのではないかと思っていますが、この部分は相当密に測定しないと違いは分からないかもしれませんね。
但し、測定に当たっては非常にシビアな取り組みをしないといけないのではないかと思っています。
よく、スピーカーの軸上で測ったデータをネットにあげている方がいらっしゃいますが、全く的外れだと思います。
測るのなら、完全にリスニングポイント、それも左の耳と右の耳の位置に正確にマイクを置いてデータを取らないと全くの無意味。
頭を前後左右に1cm動かしただけで聴こえる音が違いますから、それぐらいの細心の注意を払って測定したものでないと役に立たないのではないかと思っています。
ところで、このたびの○○様のお知らせは、長野の大工さん以来お二人目の製作報告なのですが、もしよろしかったらホームページに検証報告その2として掲載させて頂きたいと思うのですが如何なものでしょうか。
ご許可頂けるのであれば、メールのやり取りとこの画像を載せさせて頂きたいと考えております。
お考え頂きますようよろしくお願い申し上げます。
塚本 孝司
第四通
宛)塚本様
こんばんは、○○です。
>これ、正面の吸音材の分、前面の板は内側にオフセットしてあるのですよね?
はい、5cm程オフセットしております。
正面の板の角を綺麗に処理するのが難しそうでしたので、それならばいっそと思ったのと、
部屋の壁が白なので、白い吸音材を貼ることで少しでも周りから浮かない様にと考えました。
あと、軽くするために出来るだけ薄い板(9mm)を使ったのですが、そうすると釘(ネジ)を
打つのも難しく、色々と考えた挙句今の形になりました。
周波数特性を測定したのは、自分の耳を疑うわけでもないのですが、何かしら音の変化を
目で見て確認できないかと思い試して見ました。
きちんとした機材を持っているわけではないですし、違いが見て取れるかどうか不安でしたが、
それなりに波形が変わって出たのでちょっとホッとしております。参考程度だと思いますが
個人的にはこれで十分満足しています。
>但し、測定に当たっては非常にシビアな取り組みをしないといけないのではないかと思っています。
おっしゃる通りだと思います。
左右それぞれで測って見たり、内蔵マイク(iPhone)をスピーカーの軸方向に向けたりすると
もっと綺麗な波形になりますが、実際に聴いている音はそれとは別物ですし、とりあえず、
普段聴いている場所の頭の位置で、マイクを正面に向けて測定して見たものがお送りした波形です。
>ご許可頂けるのであれば、メールのやり取りとこの画像を載せさせて頂きたいと考えております。
お恥ずかしい限りですが、どうぞご自由にお使いください。
名前だけ伏せておいて頂ければ幸いです。
製作報告はもっとあるのだろうと思っておりましたが、そうでもなかったのですね。
費用対効果は抜群だと思いますので、ちょっと自作するのは大変かもしれませんが、
もっと試してみる方が増えるといいですね。
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私の返信
○○様、こんばんは、塚本です。
そうなんですよ。
メールでご連絡頂いた方や、直接店まで来られた方は何人かいらっしゃるんですが、実際同じ物を試して頂けた方は○○様でお二人目なんです。
○○様のようにちょっと工夫して独自のものを作る事が出来るくらい日曜大工の経験がないと、なかなか踏み出せないのかもしれません。
それと、改善度についていくら文章で書かれていても、ほんとの結果をイメージすることは難しいでしょうから、ダメ元精神にあふれた方でないとトライしてもらえないのでしょうね。
お二人の方に試して頂き、私と同じ音の変化が訪れている事を確認できましたことから、私の推論と対処方法の正しさに少しばかり自信がつきましたので、更に多くの人に試して頂きたいとの思いが膨らんできました。
そういう意味でも○○様の製作例を載せさせて頂ける事は、次のチャレンジャーが出てきてくれる可能性を大きく増やす事につながると思いますので、このたびご許可を頂きました事に大変感謝しています。
もちろんお名前を載せるような事はありませんのでご安心下さい。
それでは、これからもよろしくお願い致します。
塚本 孝司
この方が作られた音響補正ボックスの画像を見ていてふっと思った事があります。
当ホームページで、コーナーからの放射波が再生音に多大な影響を与えている事、そしてその事から逃れるための一つの方法として音響補正ボックスが有効な事を書き、設計図と設置方法まで掲示したので、真似して作ってくれる方がどんどん出て来てくれるのではないかと期待していたのですが、この方でやっと二人目と言う事は、もしかしたら、わたくし、大変な勘違いをしていたのかもしれません。
もしかして ・ ・ ・ これ、作るのって、難しいの?
小学校の工作以来、思いついたものを形にする事に何の抵抗も感じず、躊躇せず取り掛かって来ましたので、他の人も大差ないだろうと思っていたのですが、大工仕事を普段していない人にとっては、こういう物を作る事は結構ハードルが高いのでしょうか? ・ ・ ・ ・ ・ 高いんでしょうね。
この方のように、独自の工夫を施せる位の技術的な自信をお持ちでないと、トライするのは難しいのかもしれませんね。
う〜ん、困ったぞ。
しかしコーナーからの放射波の影響を排除する方法は他にもあると思いますので、皆さんそれぞれ工夫して対策を施して頂きたいと思います。
いくら文章で説明しても、その音の真のイメージは頭の中に浮かばないでしょう。 当然です。今まで経験した事のない世界ですから。
音質に占める割合が、
部屋の音響70%、
器材30%だと言われても信じられないでしょう。
自分の部屋で今まで聴いてきた音が劇的に変化したときに初めて思い知らされる事ですから。