アンプ交換 オール・クラウンへ
ず〜っと使っていた古〜い
Crown D-60 が1台、又1台と片チャンネルが出なくなったので、巷で評判の良かった
ThomannS-75 MK2 を2台導入し、左右の2インチと1インチのドライバーを駆動していたのですが、このアンプ、今どきのアンプにあるまじきS/N
85dBというカタログ数値で、プロテクションが外れた瞬間、サーという耳障りな残留ノイズが1インチドライバーから盛大に出てくることが非常に気になっていました。
音楽が始まってしまえばその音自体は全く聞こえなくなるのですが、もしかしたらその雑音が再生音に悪い影響を与えているのではないかとずっと気になっていました。
しかし、いざ交換するとなると又ステレオアンプが2台必要になる訳で、どうしたもんかと色々思案していたところ、ちょっと気になるアンプを見つけました。
CROWN(AMCRON) CT875 という8チャンネルのパワーアンプです。
このアンプ、ピュアオーディオファンには歓迎されないスイッチング電源アンプで、どでかいトランスを備えていないので、8チャンネル(つまりステレオアンプ4台分)アンプにもかかわらず僅か3,6sという超軽量。
スイッチング電源アンプが嫌われる最大の理由がSN比の悪さにあるのですが、このアンプ
SN比110dB、更に
THD0.05%以下という優秀なカタログデータを備えています。
やはり科学技術の進化は日進月歩。 一昔前の常識にとらわれてしまってはいけないようです。
このアンプ、本来の使用目的は商業施設用で、1台で各部屋や各階層の音楽や音声をコントロールする為のアンプとして売られている訳なのですが、どういう訳か、同じクラウン製ののライブハウスなどで使用する為のPAアンプより諸特性が良かったりします。
現在、ウーファーとミッドバスを駆動しているアンプもやはり商業施設用の6チャンネルの物なのですが、これも、同じ年代に売られていたクラウンのPAアンプより諸特性が良かったので購入し使用してきました。
正規輸入代理店のヒビノでは約26万円で売られているのですが、ヤフオクでは余り出品がなく、1年程探して、今年の夏やっと税込み5万円弱で購入出来ました。 販売していたリサイクルショップが車で30分くらいのところにありましたので、直接引き取りに行き現物を見てみると、アンプ後部のユーロブロックと呼ばれる入力端子もスピーカー接続端子も一度も接続された形跡が無く、どうも全く使われたことの無い物の様でした。
ラッキー!!
早速設置し、周波数特性を測定しながら入念にチューニング。
音出しし、試聴しながら更に煮詰めていったところ。 ・ ・ ・ ・ ・
『あっ、終わったな。!!』
自分のオーディオ行脚の終焉を感じました。
過去、アンプを変えた時、ほとんど音の違いを感じることはありませんでした。
昔、いきなり10倍の価格の物に替えた時も、低音の質感以外にはことさら感動するような音の変化を感じたことはなかったのです。
もちろん、その当時脳みそのバージョンは相当低級だったでしょうから、細かい音の表情までつかみ取ることはできない状態だった事は否めませんが、現在の音響特性の改善された部屋で、相当なバージョンアップを果たした脳で聴いても、
D-60と
ThomannS-75 MK2の違いはほとんど感じることなく、それこそ、某サイトに書かれているようなツーランクの差などは全く感じませんでした。
最も、これらのアンプは低音部には使っていませんので、高音部だけの評価になるのですが。
ところが、今回高音部4つのスピーカーを全てこの
CT875に替えたところ、明確な音の違いが現れました。
今までどうしても取り切れなくいつも気になっていた微小な音の暴れが、ほぼ気にならないレベルまで改善されました。
この暴れはスピーカーの周波数特性に起因するものだろうと思って、長い間そちらの改善に取り組んできたのですが、この問題の根っこの部分はアンプの持つ能力にあった様で、このアンプ導入により一気に解決されました。
更に、目の前の空気の透明感がそれこそツーランクアップしたような劇的な改善を果たしました。
やはり、この部分はSN比の違いが顕著に表れたのではないでしょうか。
50年代のジャズのスタジオ録音盤等で、スタジオの後ろの壁に吸い込まれるように消えていく反響音が溢れる様に出てき、奥行方向の広がりがアップしました。
又、今まで特にボーカルで感じていたのですが、高低の音質の違い、特に低い音の部分のファット感、濁り感、これらが完璧に解消されました。
楽器も声も、音の一体感、塊感が格段に向上し、実在感、生々しさがアップしました。
これもSN比の改善のせいでしょうか? もしかしたら、下から上までワンメーカーになったからかもしれませんね。
さてさて、これにて私の音の追求としてのオーディオはゴール地点を迎えたようです。
もちろん、細かいことを言えば、さらなる音のエッジの滑らかさや高密度感が欲しいとは思いますが、これ以上の物を求めるにはこれまでの何十倍もの資本をつぎ込まなければならず、又、つぎ込んだとしても果たして望む音が出てくるか、その保証は無い訳で、もうここに到達できただけで大満足と思うことが寛容でしょう。
これにて、私のオーディオ大団円!!
2020年12月14日・記