麻瀬憧庵                                 


Kアナログレコードの秘密


 アナログレコードと申しましても、今のCDに取って替わられる前のLPレコードの事ですが。 
それ以前のレコードにつきましては、私ほとんど聴いた事がありませんので、これからの話の外という事になります。

今でもこのLPレコードを愛聴している方は大変多くいらっしゃいますね。
私もつい最近まではよく聞いていました。

 やはり音的にはCDに比べて軟らかく、温かく、かつ何とも言えぬ音場感に包まれるような気がしていたんですが。
ただ、扱い的にはCDの簡便さに比べとっても面倒。メンテナンスも大変。という事で段々比重はCDの方へ移ってしまいましたね。

 このLPレコードとCDの音を比較する時に、必ず問題になるのが高音、それも人間の耳には聞こえないはずの
20,000Hz以上の高調波。
CDには規格上20,000Hz以上の音は入っていない(*)が、レコードにはそれ以上の音が入っている。という事ですね。
(*)CD規格では最高22,050Hzまでの音が記録できる事になっているんですが、実際には歪が増えないよう     に、かなり手前からフィルターによりドロップさせている。

でもこの話はどうなんでしょう。・・・・
本当の事でもあるし、本当の事でもないと申し上げるのが正解ではないでしょうか。

 まず、音楽成分に関しましては、とてもとてもそんな高域成分が入っているなんて事はあり得ません。
昔のジャズレコードに『コンテンポラリー』というレーベルがありました。
そのレコードジャケットの裏側には、録音されている周波数が 「〜15,000Hz」と書かれていました。
当時の規格では−20dBレベルまで表示が許されていましたので、実際には10,000Hz位からレベルダウンし始めていたのではないでしょうか。

再生装置を含めたアナログのSN比は50dB台ですから、15,000Hzから急峻に減衰する音がたとえ20,000Hzに届いていたとしても、耳で(あるいは目で)拾えるレベルではないでしょう。

 又、レコードの直径(30cm)と回転速度(33.3回転/分)からいって、内周に20,000Hzの音を刻もうとすると、その波長は20μm(20/1,000mm)以下ということになり、たとえカッティングマシンでラッカー盤に刻む事が出来ても、プレスの段階でそれが正確に再現できる物なのか、又、再生時に針先が正確にトレースできる物なのか、たとえトレースできたとしても、振幅は非常に小さい物なので、数度の針の接触により摩耗してしまう物ではないのか。

と、あらゆる事から音楽成分としての可聴対域外の高音は入っていないと考えるのが自然ではないでしょうか。

にもかかわらず、確かにCDよりも生々しい音が出現するのはなぜなんでしょう。
これには二つの理由が考えられます。 と申しましてもあくまで私の推論ですが。

 ちょっとした山などをハイキングしたりして森林浴をしますと、とても清々しい気分になりますね。
一つには木が発散するフィトンチッドのせいだと言われています。
そしてもう一つが木の葉が触れ合う時に発する高周波のせいだそうです。
この時、25,000Hz位の高周波を脳が感じ取って、その結果いい気持になるそうです。

実際、高周波を浴び続けるとアルファ波が出現するという、ハイパーソニック効果なる物が実験により確かめられているそうです。

これですよ、これ。アナログレコードの秘密はこれでしょう?。
つまり針がレコード盤に擦れることから自然に発している音楽成分と関係ない高周波。言ってみればただのノイズの一種。
そう考えると、針を落としただけで、まだ音楽トラックが始まっていないのに部屋の空気が変わるような気分になる謎が解けたような気がするんですが。

 まぁ、これが正しいかどうかは別にして、ノイズだろうが何だろうが、気持ち良ければそれでいいんですから全く問題ない事ですよね。
でももう一つの理由、こちらは大問題なんですよ。・・・・  
2012年10月7日・記


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