麻瀬憧庵                                 

部屋とオーディオシステム詳細


 先日、初めて当店へお越し頂きましたお客様より、『ホームページ見ているのだけれど、部屋とスピーカーセッティングの関係が良く分からず、音場の出現と書かれている事が上手くイメージしずらい』 とのご指摘を頂きました

あらためて読み直してみると、いくつかのページでこれらの事に触れているのですが、確かに情報不足の部分が多々あり、その為、真に伝えたい肝心な事が伝わっていないのかもしれないと思いましたので、ここに、今聴いている部屋の状況と、そこにどのようにスピーカーを置き、どこら辺で聴いているのか、詳しく図解する事に致しました。

まず、リスニングルームとして使用している部屋は、元々は広さ六畳の洋室でしたが、周囲への音漏れが酷く、このままでは大音量を出す事が出来なかった為、天井と壁全面に、厚さ10cmの遮音壁を自作しました。
その結果、今では実質五畳間位の面積しかない小さな部屋になってしまいました。

   オーディオルーム改造作業レポートはこちら ⇒ 遮音壁の製作記

という様な書き出しでこのページを最初に書いたのはもう10年以上も前の事でしたが、その後、ご多分に漏れず器材の変更を続け、当時とはだいぶ違うシステムになってしまいましたので、これ以降の文章はほぼ全面的に書き直す事に致しました。                                2023年11月7日・記

 現在の部屋の寸法と、各機器の配置は下のイラストの様になっています。
元々は、横幅約2.6m、縦の長さ約3.5m程の広さだったのですが、厚さ約10cmの遮音壁を設けたせいで、横幅約2.4m、縦の長さ約3.3mと、一回り狭い部屋になってしまいました。
天井までの高さも同じく遮音壁のせいで、
2.2m位しかありません。

音響補正ボックス
  
天井側の四つのコーナー手前には、自作の音響補正ボックスをぶら下げてあり、スピーカー後ろのコーナーにも据え置き型の物を置いてあります。
スピーカーの置き場所は、後ろのコーナーから出来るだけ離して置きたいのですが、左側の壁の奥に押入れがあり、そこへのドアの開け閉めに差しさわりがないギリギリの位置という事で、コーナーから約95cmの所になっています。

正面の壁は有孔パネルを使用した吸音壁になっています。 脳をだますべく舞台の絵を描いてみました。

正面の壁に取り付けてあるパイプ群は、定在波防止用の自作ミニアンク(?)、
リスニングポイント左右の壁には同じ目的のミニシルヴァン(?)も取り付けてあります。

  

と、2020年11月からは上記画像のようでしたが、その後、アンプ、ミッドバス、ウーファー等交換し、2023年6月に更に吸音度を高める処置を部屋に施したので、今では全く違う様相になってしまいました。
                                                詳しくは「完全吸音壁」

  

  

スピーカー、その他器材は以下のとおりです。




ウーファーJBL130A

最初期のLE14A(48年ほど前に購入)から、46cm口径のElectro-Voice  ELX118に変更し、更に同じく46cm口径のJBL2240に変更したのですが、フェライトマグネットの音が気になり、結局、アルニコマグネットの38cm口径の130A実際はリコーンしたD130)に落ち着きました。

キャビネットはElectro-Voice  ELX118のまま使いまわしてます。
■キャビネットサイズ:幅50.7x高さ66.1x奥行57.4cm

サイズがコンパクトで小さい部屋でも使えます。
130Aの推奨箱には小さすぎるのですが、イコライジングしますのでそれ程問題はありません。


2インチドライバーJBL2482 + JBL2382Aホーン
ミッドバス JBL130A

元々はBLのJRX−115というPA用スピーカーだったんですが、ドライバー&ホーンを替えウーファーユニットを替え、今ではエンクロージャーだけになりました。
上から見ると台形になっていますので、外側の面が、後ろのコーナー上下に設置してある音響補正ボックスの外側の面の延長線に重なるように内向きにおいてあります。

そして、このスピーカーの内側の面が見えるか見えないか位の位置を基準のリスニングポイントにしています。 スピーカー中心からの距離は1.2m程です。

これより少し前に座ると、録音現場に完全に入り込んでしまった様な音場感を得られ、音の広がりも横から更に後ろ側に回り込むように聴こえ、音に取り囲まれてしまうような状態になりますが、各々の録音状態によっては、少し後ろに下がって聴いた方が音の輪郭がはっきりすることもあり、前後5〜10cm位の間で一番気持ち良く聴こえる位置を選んで聴く様にしています。


1インチドライバーJBL2461+2309ホーン+ハイルドライバー

JBL2482がフェノリックダイアフラムを使用しているので、1万Hzまで音を統一させる為、同じくフェノリックダイアフラムを使用しているJBL2461を導入しました。 しかしそのうち2461の高調波歪み率の多さが気になり、ダイアフラムをRADIANのアルミに替え使用しています。
初め2307というショートホーンを使っていたのですが、特性の差を知りたくて2309というロングホーンを導入しました。 1.5kHz以下の特性は少し良くなるようですが、2kHz以上ではほぼ同じでした。

ツィーターは初めJBL2402ハイルドライバーをつなげて使っていたのですが、ひょんなことからハイルドライバーのすごさに気づき、今では7kHz以上をこれ1本で賄っています。
エンクロージャーの上に載せてあり、試聴角度により高域の減衰が大きくならない様、左右、さらに上下の角度も付け、中心軸が耳のすぐ外側を通るように置いてあります。。


        ダウントランス

電源は200Vを部屋まで引いてもらい、このダウントランスを使い100Vと115Vを取り出しています。
  購入当初は、唸り音がかなり大きく耳障りだったので、昔作ったレコードプレーヤー用の箱の中に格納しました。

その後、電源を投入しっぱなしにしておいたところ、最近では唸り音がかなり小さくなり、殆んど気にならないレベルになりました。


PC&DS−DAC−100

今現在、PCオーディオと呼ばれる物に完全に移行してしまいました。

音源はパソコン内WAVファイルで、CDを直接聴く場合もパソコンドライブで再生しています。

外付けUSB−DACには、初め、MUSE製の¥3,000位の物を使用していました。これはC/P最高で、音的にもかなり満足のいく物だったのですが、こちらのコルグ製のDACを導入したところ、ブッ飛びの音質で大満足。 DSDリアルタイム変換後の音の凄さを堪能できます。
但し、このDACは専用の音楽用ソフトでしか使えません。 従ってDVDやパソコン内動画ファイルを視聴する時はMUSE製DACに繋ぎ換えています。





チャンネルデバイダーパワーアンプの変遷
※2021年7月頃迄                    

外付けDAC以降は BEHRINGERべリンガー)のULTRADRIVE PRO  DCX2496というデジタル方式のチャンネルデバイダーを2台使い、片チャンネルづつ、ウーファー、ミッドバス、2インチドライバー、1インチドライバー、ツィーター1、ツィーター2と6Way に分割し、マルチアンプシステムを構成しています。

左の画像一番上から、
・左右ツィーター1(2402)駆動用の クラウンD−60パワーアンプ。
・左ch2インチドライバーと1インチドライバー駆動用の t.amp  S-75mk2
・左ch用のチャンデバ。
・右ch用のチャンデバ。
・右ch2インチドライバーと1インチドライバー駆動用の t.amp  S-75mk2
・その下2台は、クラウンCP−660パワーアンプ。
上は左chのウーファーとミッドバスをBTL接続で駆動しています。
下は右chのウーファーとミッドバスをBTL接続で駆動しています。
左右のハイルドライバーもこのアンプを普通のステレオ仕様で駆動しています。
※2021年7月以降

 上の状態でしばらく聞いていましたが、t.amp  S-75mk2の残留ノイズの大きさがどうも気になり、CROWN(AMCRON)  CT875という8チャンネルのスイッチング電源アンプを導入し、2482,2461,2402,ハイルドライバーを駆動しています。

これにより、かなりな音質向上が見られ、ほぼ不満点は解消されました。
※2022年12月以降

CT875
が非常に良い音でしたので、低音部に同シリーズのCT8150というアンプを導入しました。

これにより、低音部の駆動方法がBTL接続方式ではなくなってしまったのですが、音質ダウンは生じず、このアンプのS/Nの良さが遺憾なく発揮され、下から上まで繋がりが良く濁りの少ない、とても澄んだ気持ちの良い音が出現しております。


この様なシステムに至るまで、それこそ数えられない位試行錯誤を繰り返し非常に長い年月が経過しましたが、今やっと満足の行く好みの音で音楽を聴けるようになってまいりました。

ここまでの経験から得られた事として、良い音を聴く為に重要な要素は三つあり、

まず一つ目は、部屋の音響を整える事
次に、スピーカーの再生周波数特性を出来るだけフラットに近づける事
そして最後に、あらゆるノイズを遮断する事

これら三つは正に三位一体。 どれか一つが抜け落ちても理想の音には到達できません。
但し、この中で本来一番先にやらなければいけない事ははっきりしています。

普通は器材のアップグレードにより音質向上を目指しますが、これは特性の向上と歪の低減という二つの要素に関わるのですが、このうち周波数特性の向上という部分では、正しい判断が下せない状況にあるという事が出来ます。

つまり、スピーカーから出た音は部屋の中で反射を繰り返す音の影響を受け、耳に届いた時はスピーカーから出た時とは違う特性になってしまっているという事で、今聴こえてる音でその音や器材の善し悪しを決めてはいけないという事です。
ですので、真っ先にやらなければいけないのは部屋の音響を整えると言う作業なのです。

しかし私もこの事に気付くまで、長い間堂々巡りを繰り返してきました。
もっとも器材にお金を掛けると言う事は最小にとどめていましたが、スピーカーの周波数特性を極める為に殆んどの時間を費やしてきました。 
もし部屋の環境の重要性に気付かないままでしたら、恐らく死ぬまで同じ事を繰り返し、今の様に音を聴くだけで気持ちよさを味わえる事も経験できなかったでしょう。

という訳で、簡単に部屋の音響を整えられる方法として、音響補正ボックス の設置を提案する為にこのホームページを作ったのです。

この音響の整った環境を手に入れれば後は比較的簡単です。
自分が到達したい場所、そちらの方角、進むべき道も見えてきますし、そこまでのステップアップも間違いなく進める事が出来るようになってきます。

具体的に言うと、マルチアンプシステムの導入、デジタル・チャンネルデバイダーの使用、周波数特性測定環境の取得。という事になるでしょうか。

これで、ほんの小さな変化も目で見て、耳で聴いて理解する事が出来るようになります。

至福の音はその先に待っているのです。


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