I音場の出現
次に、
X(
A−
B間の距離)=
3mはそのままで
Y(
C−B間の距離)=
4.5mとした時のBまでの波長数
x,yと位相差を計算すると下の表の様になります。
周波数(Hz) |
波長(m) |
x |
y |
位相差(度) |
100 |
3.000 |
1.0 |
1.5 |
逆相 |
200 |
1.500 |
2.0 |
3.0 |
正相 |
300 |
1.000 |
3.0 |
4.5 |
逆相 |
400 |
0.750 |
4.0 |
6.0 |
正相 |
500 |
0.600 |
5.0 |
7.5 |
逆相 |
600 |
0.500 |
6.0 |
9.0 |
正相 |
700 |
0.429 |
7.0 |
10.5 |
逆相 |
800 |
0.375 |
8.0 |
12.0 |
正相 |
900 |
0.333 |
9.0 |
13.5 |
逆相 |
1,000 |
0.300 |
10.0 |
15.0 |
正相 |
1,100 |
0.273 |
11.0 |
16.5 |
逆相 |
1,200 |
0.250 |
12.0 |
18.0 |
正相 |
1,300 |
0.231 |
13.0 |
19.5 |
逆相 |
1,400 |
0.214 |
14.0 |
21.0 |
正相 |
1,500 |
0.200 |
15.0 |
22.5 |
逆相 |
1,600 |
0.188 |
16.0 |
24.0 |
正相 |
1,700 |
0.176 |
17.0 |
25.5 |
逆相 |
1,800 |
0.167 |
18.0 |
27.0 |
正相 |
1,900 |
0.158 |
19.0 |
28.5 |
逆相 |
2,000 |
0.150 |
20.0 |
30.0 |
正相 |
2,100 |
0.143 |
21.0 |
31.5 |
逆相 |
2,200 |
0.136 |
22.0 |
33.0 |
正相 |
2,300 |
0.130 |
23.0 |
34.5 |
逆相 |
2,400 |
0.125 |
24.0 |
36.0 |
正相 |
2,500 |
0.120 |
25.0 |
37.5 |
逆相 |
2,600 |
0.115 |
26.0 |
39.0 |
正相 |
2,700 |
0.111 |
27.0 |
40.5 |
逆相 |
2,800 |
0.107 |
28.0 |
42.0 |
正相 |
2,900 |
0.103 |
29.0 |
43.5 |
逆相 |
3,000 |
0.100 |
30.0 |
45.0 |
正相 |
3,100 |
0.097 |
31.0 |
46.5 |
逆相 |
3,200 |
0.094 |
32.0 |
48.0 |
正相 |
3,300 |
0.091 |
33.0 |
49.5 |
逆相 |
3,400 |
0.088 |
34.0 |
51.0 |
正相 |
3,500 |
0.086 |
35.0 |
52.5 |
逆相 |
3,600 |
0.083 |
36.0 |
54.0 |
正相 |
3,700 |
0.081 |
37.0 |
55.5 |
逆相 |
3,800 |
0.079 |
38.0 |
57.0 |
正相 |
3,900 |
0.077 |
39.0 |
58.5 |
逆相 |
4,000 |
0.075 |
40.0 |
60.0 |
正相 |
4,500 |
0.067 |
45.0 |
67.5 |
逆相 |
5,000 |
0.060 |
50.0 |
75.0 |
正相 |
5,500 |
0.055 |
55.0 |
82.5 |
逆相 |
6,000 |
0.050 |
60.0 |
90.0 |
正相 |
6,500 |
0.046 |
65.0 |
97.5 |
逆相 |
7,000 |
0.043 |
70.0 |
105.0 |
正相 |
7,500 |
0.040 |
75.0 |
112.5 |
逆相 |
8,000 |
0.038 |
80.0 |
120.0 |
正相 |
8,500 |
0.035 |
85.0 |
127.5 |
逆相 |
9,000 |
0.033 |
90.0 |
135.0 |
正相 |
9,500 |
0.032 |
95.0 |
142.5 |
逆相 |
10,000 |
0.030 |
100.0 |
150.0 |
正相 |
10,500 |
0.029 |
105.0 |
157.5 |
逆相 |
11,000 |
0.027 |
110.0 |
165.0 |
正相 |
11,500 |
0.026 |
115.0 |
172.5 |
逆相 |
12,000 |
0.025 |
120.0 |
180.0 |
正相 |
12,500 |
0.024 |
125.0 |
187.5 |
逆相 |
13,000 |
0.023 |
130.0 |
195.0 |
正相 |
13,500 |
0.022 |
135.0 |
202.5 |
逆相 |
14,000 |
0.021 |
140.0 |
210.0 |
正相 |
14,500 |
0.021 |
145.0 |
217.5 |
逆相 |
15,000 |
0.020 |
150.0 |
225.0 |
正相 |
15,500 |
0.019 |
155.0 |
232.5 |
逆相 |
16,000 |
0.019 |
160.0 |
240.0 |
正相 |
この場合、100Hz毎にピークとディップが現れています。
最後に、
X(
A−
B間の距離)=
3mはそのままで
Y(
C−B間の距離)=
6mとした時のBまでの波長数
x,yと位相差を計算すると下の表の様になります。
周波数(Hz) |
波長(m) |
x |
y |
位相差(度) |
100 |
3.000 |
1.0 |
2.0 |
正相 |
200 |
1.500 |
2.0 |
4.0 |
正相 |
300 |
1.000 |
3.0 |
6.0 |
正相 |
400 |
0.750 |
4.0 |
8.0 |
正相 |
500 |
0.600 |
5.0 |
10.0 |
正相 |
600 |
0.500 |
6.0 |
12.0 |
正相 |
700 |
0.429 |
7.0 |
14.0 |
正相 |
800 |
0.375 |
8.0 |
16.0 |
正相 |
900 |
0.333 |
9.0 |
18.0 |
正相 |
1,000 |
0.300 |
10.0 |
20.0 |
正相 |
1,100 |
0.273 |
11.0 |
22.0 |
正相 |
1,200 |
0.250 |
12.0 |
24.0 |
正相 |
1,300 |
0.231 |
13.0 |
26.0 |
正相 |
1,400 |
0.214 |
14.0 |
28.0 |
正相 |
1,500 |
0.200 |
15.0 |
30.0 |
正相 |
1,600 |
0.188 |
16.0 |
32.0 |
正相 |
1,700 |
0.176 |
17.0 |
34.0 |
正相 |
1,800 |
0.167 |
18.0 |
36.0 |
正相 |
1,900 |
0.158 |
19.0 |
38.0 |
正相 |
2,000 |
0.150 |
20.0 |
40.0 |
正相 |
2,100 |
0.143 |
21.0 |
42.0 |
正相 |
2,200 |
0.136 |
22.0 |
44.0 |
正相 |
2,300 |
0.130 |
23.0 |
46.0 |
正相 |
2,400 |
0.125 |
24.0 |
48.0 |
正相 |
2,500 |
0.120 |
25.0 |
50.0 |
正相 |
2,600 |
0.115 |
26.0 |
52.0 |
正相 |
2,700 |
0.111 |
27.0 |
54.0 |
正相 |
2,800 |
0.107 |
28.0 |
56.0 |
正相 |
2,900 |
0.103 |
29.0 |
58.0 |
正相 |
3,000 |
0.100 |
30.0 |
60.0 |
正相 |
3,100 |
0.097 |
31.0 |
62.0 |
正相 |
3,200 |
0.094 |
32.0 |
64.0 |
正相 |
3,300 |
0.091 |
33.0 |
66.0 |
正相 |
3,400 |
0.088 |
34.0 |
68.0 |
正相 |
3,500 |
0.086 |
35.0 |
70.0 |
正相 |
3,600 |
0.083 |
36.0 |
72.0 |
正相 |
3,700 |
0.081 |
37.0 |
74.0 |
正相 |
3,800 |
0.079 |
38.0 |
76.0 |
正相 |
3,900 |
0.077 |
39.0 |
78.0 |
正相 |
4,000 |
0.075 |
40.0 |
80.0 |
正相 |
4,500 |
0.067 |
45.0 |
90.0 |
正相 |
5,000 |
0.060 |
50.0 |
100.0 |
正相 |
5,500 |
0.055 |
55.0 |
110.0 |
正相 |
6,000 |
0.050 |
60.0 |
120.0 |
正相 |
6,500 |
0.046 |
65.0 |
130.0 |
正相 |
7,000 |
0.043 |
70.0 |
140.0 |
正相 |
7,500 |
0.040 |
75.0 |
150.0 |
正相 |
8,000 |
0.038 |
80.0 |
160.0 |
正相 |
8,500 |
0.035 |
85.0 |
170.0 |
正相 |
9,000 |
0.033 |
90.0 |
180.0 |
正相 |
9,500 |
0.032 |
95.0 |
190.0 |
正相 |
10,000 |
0.030 |
100.0 |
200.0 |
正相 |
10,500 |
0.029 |
105.0 |
210.0 |
正相 |
11,000 |
0.027 |
110.0 |
220.0 |
正相 |
11,500 |
0.026 |
115.0 |
230.0 |
正相 |
12,000 |
0.025 |
120.0 |
240.0 |
正相 |
12,500 |
0.024 |
125.0 |
250.0 |
正相 |
13,000 |
0.023 |
130.0 |
260.0 |
正相 |
13,500 |
0.022 |
135.0 |
270.0 |
正相 |
14,000 |
0.021 |
140.0 |
280.0 |
正相 |
14,500 |
0.021 |
145.0 |
290.0 |
正相 |
15,000 |
0.020 |
150.0 |
300.0 |
正相 |
15,500 |
0.019 |
155.0 |
310.0 |
正相 |
16,000 |
0.019 |
160.0 |
320.0 |
正相 |
この場合、完全に同波形となり、音の強さ(振幅)に変化はありますが、波形の歪みは生じない事になります。
しかし、このようにスピーカーの位置をコーナーからの反射音の干渉の少ない場所に選んだとしても、実は、低音と高音では違うスピーカーから音が出ていますので、
X(
A−
B間の距離)は、クロスオーバー周波数近辺を境に違う距離になります。従いまして、この表のように完全正相にはなりません。
又、天井など、他のコーナーからの反射音の干渉も受けますし、更にはリスニングポイントをほんの少し前後に移動しただけで波形は変化してしまう事になります。という訳で、結局はスピーカーの位置を変えることで距離を調整し音の干渉を軽減しようとしても、あまり効果は出ないという事になります。
もし、部屋が十分に広い場合、又、天井がとても高い場合、これは非常に音響環境に優れていると言え、このような部屋で
スピーカーを各コーナーから十分離して、なおかつそのスピーカーの直前で聴く(*)ような事が出来れば、反射音の影響をほとんど受けない素晴らしい音を聴く事が出来るでしょう。
(*)音のエネルギーの強さは距離の2乗に反比例しますので、
X(
A−
B間の距離)に対して
Y(
C−B間の距離)
が大きれば大きい程、コーナーからの放射音の影響は少なくなります。ですから、どんな部屋でもできるだけ
スピーカーは前に出して置いた方が良い事になります。
しかし、現実には六畳間程度の広さで音楽を楽しむ事が一般的ですので、各コーナーからの反射音を直接的に処理する方法を考えなければなりません。
それがうまく行き、スピーカーからの音だけを聴く事が出来るようになれば、後はスピーカーケーブル長を変え、周波数特性の調整をする事により、目の前にCDに封じ込められた豊かな音、素晴らしい音場が出現する事になります。
どのようにするか、後ほど、私が試して好結果を得た方法をお伝え致します。
この項と前項で、スピーカーから出た音が部屋のコーナーからの反射音の干渉により、耳に届いた時点で余計なピーク(山)とディップ(谷)が現れ、元の音とは違う音に変形されているであろう事を書きましたが、そのピークとディップが現れるという事が、実際聴こえる音にどのような影響を及ぼしているのかという事について少し補足させて頂きます。
簡単に言えば、ピーク部分の音が耳に届く事で、その音により、そのピークの後ろに出来るディップ部分の音がマスキングされてしまうという事です。もちろん耳という機関は音を拾っているのでしょうが、脳としてはピーク部分の音圧に比べて数dBエネルギーの下がったディップ部分の音は、正確に認識できないという事なんだと思います。
この事は、例えばある楽器や声の2次、3次等の高調波がそのディップ部分の周波数である場合、脳ではその音が認識されず、つまりはその高調波成分が欠落した音として聴こえてしまうであろうという事です。
その結果、音の瑞々しさ、生々しさが失われてしまい、すごく平凡な音になってしまいます。又、音の周りに付帯する輝きみたいなものが失われてしまい、音そのものの立体感も感じられなくなってしまいます。
更にこれが一番肝心な事なんですが、レコーディングエンジニアがCDやレコード等の音源に封じ込めた、あるいは付加した、壁や天井に反射する音、つまり反響音や残響音と言われる音が聴こえにくくなり、これらの音が聴こえる事によって創出される音場と言われる三次元立体空間が眼の前に現れる事が難しくなります。 眼の前に出現する音には奥行き感が感じられず、平面的な二次元空間が存在するだけになってしまいます。
この様な音ですと、脳は過去の実体験から蓄積してきた生音との違いを感じ取り、違和感を感じストレスを生じてしまうのでしょう。
オーディオに嵌りもっともっと良い音を聴きたいと思った時に、色々な事を勉強しつつ、更に良い機材(高級な機材)を買い揃え、というような行動を取ってしまうんですが、はっきり言って無駄です。
どんな有名な高級アンプやスピーカーを揃えても、そのままでは満足のいく音が現れる事はありません。
部屋のコーナーからの放射波の干渉から逃れない限り、脳が納得する音は出現しないのです。
後々、私が試した方法を詳しくお伝えしますが、上手く放射波の干渉を取り除く事が出来ると、まずピークが無くなりますので、その結果音が小さくなったように感じられます。アンプのボリューム一目盛分以上上げないと、前と同じ音量は得られなくなりますが、浮ついた賑やかさが無くなり、しっとり落ち着いた音になります。
更にディップが無くなる事により、今まで書いてきたように、それまで聴こえなかった色々な音が聴こえる様になります。スタジオやホール中に反響する音が聴こえる様になり、目の前に三次元立体空間が出現し、その中にボーカルや楽器が浮かび上がる様に存在します。更に楽器の音や声そのものも立体的な奥行き感を持ち厚さが出て来ます。
この反響音が聴こえる様は、正にヘッドフォンで聴く音に近いのですが、ヘッドフォンで聴く場合は頭の中に空間が現れる訳で、目の前の部屋いっぱい、というより部屋の外側にも広がりを感じられるような空間が出現した際の感動は比べ物になりません。
これらの事が、脳が感じる満足度に一体どれ程の比重を占める物なのか、それは経験してみないと分からない事でしょう。 部屋の音響がどれ程大事な事なのかという事は、反射波、特にコーナーからの放射波の干渉を排除した時に現れる音を聴いた時に初めて思い知らされる事です。