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図書館所蔵お薦めアルバムAJazz ボーカル
古い時代のジャズボーカリストと言いますと、カーメン・マクレーやサラ・ボーン、エラ・フィッツジェラルド、アニタ・オデー等の名が挙がると思いますが、もちろん稲城市立図書館にも、これらのシンガーのアルバムは多数あります。
『ブック・オブ・バラード』(カーメン・マクレー)や、『ディス・イズ・アニタ』(アニタ・オデー)等という名盤と呼ばれるアルバムもあるんですが、私にとって肝心なのは声そのもの。
黒人の、まるで男性の様なアクの強い声(カーメン・マクレー)とか、パワーのない声(アニタ・オデー)とかは好みではありませんので、ここでは私好みの声の持ち主を中心にお薦めアルバムを紹介してみたいと思います。
「ブレンダ・リー」
の
『オール・ザ・ウェイ』
です。
ジャケット写真はまるでアイドルのように写ってますけど、その声の力強さといったらチョット驚きです。
明るくて可愛い声なんですが、ブラスの様な響きと輝きを備えています。声量という一言ではかたずけられない、ふくよかで体全体に共鳴するようなパワー感は比類なきものです。
一応ジャズに分類されていますし、曲目もスタンダードナンバーばかりのようなんですが、伴奏アレンジは60年代ポップスのよう。当時のヒットパレードを聴いているような感じになります。
「クリス・コナー」
の
『クリス・イン・パーソン』
1959年にビレッジ・バンカードで行われたライブの模様を収めたアルバムです。
伴奏は右チャンネルから、クリスの声は左チャンネルからと今の録音ではありえない様な位置取りなんですが、昔の録音にはこういうのたまにありましたね。
音自体はチョット荒々しいんですが、まるですぐそこに本人が存在する様な生々しさがあります。ハスキーだけどちょっと野太く、低域から高域まで非常にパワフル、ストレスなく出てくる声に聴き惚れてしまいます。歌唱も非常に丁寧で、何の不安もなく歌声に身を任せる事が出来ます。
ご存知ジャズボーカル界の女帝、「
エラ・フィッツジェラルド」
の
『ソングス・イン・ア・メロー・ムード』
です。
スローバラードから超アップテンポな曲まで、どんな曲でも歌いこなしてしまう幅広いテクニックの持ち主ですが、このアルバムでは、タイトルで分かる通りスローからミドルテンポの曲ばかりを、ピアノだけの伴奏で、しっとり、しっかり心の中に浸みいる様に歌い上げます。
録音年は1954年ですので当然モノラルです。
この人の声には黒人特有のアクの強さがあまり感じられませんね。比較的澄んだ声色はなかなか魅力的。世の中の生活音が無くなった夜中にじっくりと聴いて見て下さい。
「ヘレン・メリル」
の
『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』
です。
これは超有名なアルバム。「ニューヨークのため息」と呼ばれるハスキーボイスがとっても魅力的。特に3曲目の「ワッツ・ニュー」は堪りません。
まるで歌うように自在に音色を変えながら、感情豊かに奏でられるクリフォード・ブラウンのトランペットとの相性も抜群です。
実はこのアルバム、オーディオ調整用として最適なんです。
ベース、ボーカル、ピアノ、トランペット、シンバルと縦一直線に並ぶように左右のスピーカーの周波数特性をセッティング出来れば申し分ありません。録音ノイズが大きめなので、トゥイーターの左右バランスの調整にも好都合です。
「ジュリー・ロンドン」
の
『ジュリー・ロンドン・ベスト』
です。
この人の声も堪りませんよぅ〜。
ハスキーとはまた違う、チョットけだるい様なウィスパーノットにはもう蕩けてしまいそうになります。
とは言っても、声量がない訳ではありません。しっかりしたパワーある声で強弱、メリハリある歌い方をしてくれます。
曲は全てスタンダードですが、どの曲もアレンジ含めて個性ある仕上がりになっており、二番煎じ感は全くありません。
「ペギー・リー」
の
『ブラック・コーヒー』
です。
声的には、上の
ジュリー・ロンドンにちょっと似ている感じがしますが、もう少し芯のある声とでも申しましょうか。
でも全曲違う声の様に聴こえるんですよねぇ。
スローテンポの曲では、ハスキーな声でネットリと絡みつく様に、それでいてクールに、情感たっぷりに歌います。
アップテンポの曲では、一転してストレートな声でチャキチャキと明るく歌い上げます。歌い方のふり幅の非常に広いシンガーですね。
1曲目のアルバムタイトル曲の歌い方が、やはり一番印象に残りますねぇ。
「サラ・ボーン」
の
『クレイジー・アンド・ミックスド・アップ』
です。
ヘレン・メリルと同じように、クリフォード・ブラウンが参加した有名アルバムも稲城図書館にはあるんですが、こちらの方が肩に力が入ってないというか、リラックスしてノリが良く楽しめるアルバムだと感じます。
白眉を飾るのが3曲目の「オータム・リーブス」。
アップテンポなギターのイントロに引き続き、いきなりスキャットが始まるんですが、これが圧倒的にパワフル。「いったいどこが枯葉?」と思わせるイマジネーション溢れるスキャットだけで最後まで歌い切ってしまいます。