オーディオ雑記帳その5
先日、吸音材を前面の壁と左右の壁、天井に張り付けたところ凄い音が出現したのですが、その時、オーディオの真理に気づきました。
⇒ 「完全吸音壁へ」 参照
オーディオファンの究極の目標とは何でしょう?
一般的には「原音再生」と言われますが、これは楽器の音そのものという事ではなく、エンジニアが音源に封じ込めた音そのままを再生する事と捉えるべきですよね。
ここでちょっと数式で遊んでみます。
「A」 をエンジニアが音を仕上げたスタジオのモニタリングルームの環境とします。
この中には、モニタースピーカーの諸特性、使用した機器の性能、モニタリングルームの音響環境等が含まれます。
そして、そこで作られた音を
「X1」 としましょう。
次に、オーディオルームの環境を
「B」 とし、そこで再生される音を
「X2」とし、これらを便宜的に掛け算で表し、次のように書いてみましょう。
AX1=BX2
この時、エンジニアが音源に封じ込めた音、つまりモニタリングルームで再生された音とオーディオルームで再生された音が全く同じだと仮定した場合
X1=X2
という式が成り立ちます。
さて、この二つの式からなる連立方程式の解を求めてみると、
A=B
という事になります。
この式が何を表しているのかというと、オーディオルームの環境をモニタリングルームの環境と同じにしないと、音源に封じ込められた音を正確に再現する事は出来ないという事なのです。
ほとんどのオーディオファンはこの環境の中のスピーカーやアンプなどの機材の性能の事しか考えておらず、部屋の音響環境の事には全く思いを馳せていません。
何故そうなのかというと、部屋の音響環境が再生音に与える影響を過小評価しているか、あるいは全く気にもかけていない為なのです。
今まで常々、部屋で音の70〜80%は決まると書いて来たのですが、完全吸音壁への作業を終え実感したのは、部屋が全て、100%といっても過言ではないという物でした。
これがオーディオの真理です。
真理は原理、基本です。
部屋の音響環境を整える事、これから始めなくてはいけない事だったのです。