麻瀬憧庵                                 


弁天ブログ掲載記事D富士山


2012年9月1日
雲上散歩

いらっしゃいませ。麻瀬憧庵(マセドアン)です。

 昔から、「富士山に登らないバカ、二度登るバカ」なんて事を申しますが、
私、昨日(8月31日)二度登るバカの仲間入りをして参りました。

15年程前に1度家族連れで登り、七合五尺付近で家族を帰らせ、その後一人で登頂したんですが。

イヤ〜、バカでしたぁ!

バカ・バカ・バカのオオバカ野郎でしたぁ〜!!!

今までにこれ程キツイ思いをした事ありません。
肉体的にも精神的にも、モ〜オ、疲労困憊。ズタボロ状態です。

15年間の老化度、思い知らされましたぁ!
前回は、一部きつかったんですが、全体的には何か楽勝で、登頂後の『お鉢めぐり』もハイキング気分だったんですけど・・・・

今回は『お鉢めぐり』に出かけて最初の上り坂でもう後悔。1周するのが大変な苦痛でした。

何しろ、七合目でもうすでに足がパンパン。 それから上は、7,8歩で足が固くなり数秒立ち止まってまた歩き始めるという繰り返しでしたから。

八合目に着いた時は放心状態、どうしようかと思いました。

 実は今回は、「どうせ登るならご来光を」と、前回果たせなかった頂上でのご来光を見ることを第一目標に、須走り口に車を止め午後九時半に出発。
八合目に着いたのは午前三時だいぶ前だったのですが、ここ八合目で吉田口から登って来る登山者と合流し、さらに周辺の山小屋で一泊したご来光目的の登山者が雲霞の如く出現し、ここから先の登山道は大渋滞状態。

私、せっかちですから渋滞や列に並ぶのは大嫌い。
でもこの日だけは『アッ、このペースならいけるかも』っと、渋滞大歓迎。いそいそと列に並びました。

でもここから先の斜度は半端じゃありません。ヘッドライトの列がもう真上に伸びているように感じられます。
父親に連れられた小学生の女の子が泣きながら登っています。
かつてうちの娘もそうでした(富士山じゃなかったですけど)。

 九合目に着いてあと160mの標識を見て「もう少しだっ」と上を見上げた瞬間、まだまだずっと上までライトの列が繋がっているのを見て、心が萎え、体から全ての力が抜けて行くのを感じました。

もう完全に周囲が明るくなってきた午前4時40分・・・登頂!!
今日の日の出は5時15分です。間に合いましたねぇ。

八合目から2時間近くかかったようです。普通なら1時間位で登れるそうなんですが。

今日の山頂は快晴!!
眼下に雲海が広がります。東の空はすでに明るく、もうそこまで登ってきているであろう太陽に照らされた雲がオレンジ色の光を放っています。

最高の景色! ウ〜ン、もう・・・『なんもいえねぇ!』(by北島康介)
時間通り(当たり前だ)・・・ ご来光!!

みるみる登り、眩しい光と共に、真冬の気温だった山頂をぐんぐんと温めてくれます。

あぁ〜、この暖かさこそ、太陽信仰の根源だったのかもしれません。
 富士登山で一番重要なのは何と言っても天気。
山頂が曇っていたら、登った達成感なんか微塵も感じられないでしょう。
もし途中で雨に降られたら、・・・・ これはもう拷問です。

 今回は山頂晴れ、眼下に雲海だったんですが、前回は完全なる晴れ。
山頂から見下ろす下界の景色は、まるで飛行機の窓際席から見る地表の景色。も〜う、感動です。

 

まだ一度も登っていないあなた、是非登らないバカを脱却して下さい。

若ければ問題ありませんでしょうが、体力に自信がない場合は是非トレーニングとダイエットを。富士山頂は日本で一番肥満率の小さい場所。

 私も、今回計画をした8月初旬から、夜な夜な登山靴を履きリュックを背負い、「巨人への道」の階段を上り下りしてましたが、ちょっとトレーニング期間が足りなかったようです。三月は必要かな。

アッ、あの時驚かしてしまった君。ごめんね。あれは私です。





2013年7月2日
富士登山

 先月、富士山及び、その周辺の景観が世界文化遺産に登録されましたね。
今月1日は山開きだったのですが、それに先立つ週末の29,30日からもう大混雑。とんでもない事になっているようです

 普段の年ですと、雪の為7月中旬以降でないと山頂までは登れないそうなのですが、今年は雪が少なかったらしく、もうすでに山頂までの登山道が開通しているそうです。
という事で、この先、8月末まで大量の登山者で大賑わい。但し、関係者の皆様にとっては問題山積のようですね。

一説によると、去年の人出が34万人とか言われていますが、それが今年は50万人ほどになるかもしれないとのことで、軽装登山や落石によるケガ人の増加や、ゴミの処理や自然破壊等、頭が痛い事だらけだそうです。
実際、もうハイヒールの登山者が現れているそうです。こういう頭空っぽの人間ていうのは必ず出現しますからねぇ。

 入山者数を抑え、景観を保つための費用を捻出する為に、入山料を取ることが議論されていますが、500円や1,000円では2〜4%位の抑制効果しかないそうで、試算では、6,000〜7,000円の入山料を取らないと 30%の抑制効果は発揮されないそうです。(屋久島が世界自然遺産に登録された次の年は、観光客が前年比30%増だったそうです)
 
 それにしても、関係各県の対応はあまりにも遅きに失している感があります。申請した時点で、もし登録されればこの様な事になる事は分かっていたのですから、事前に手を打っておくべきだったのではないのでしょうかねぇ。
まさか実際に登録されるとは思っていなかったなんて事はないでしょうねぇ。

 確かに、富士山は人々を魅了する山で、見ていると登ってみたくなる、そして登ってみると更にその素晴らしさに感動する事間違いないという山ですから、今、これだけの人の注目を集めるのも納得してしまうんですが。

 昔、江戸時代から富士山は信仰の対象として崇められていて、登る事も観光目的ではなく、修行の一環、信仰の表れとして行われていたのですが、実際、登ってみると、その理由、意味が良く解ります。

 日ごろ足腰を鍛えている人は別にして、普通の生活をしている人にとっては富士登山はホントに大変。正に地獄の苦しみを味あわされます。もう泣きだしたくなるほどまでに追いつめられます。
しかし、ひとたび山頂に立った瞬間、今までの苦しみはすべて吹き飛び、最高の感動を味わえます。正に天国。
そうなんです。富士山は地獄と天国を体験できる希有な存在。

昔の人は、現世の生活がどんなに苦しくても、死んだら天国に昇り、極楽浄土を味わいたいとの思いで富士山を信仰し、富士山に登ったのではないでしょうか。

 私、去年この富士登山を体験してきました。8月31日に登ったんですが、この時、世界文化遺産登録に妥当か否かの調査の為、ユネスコ関係者が視察に来ているという記事が紙面を賑わせていました。

 その時、まさしく地獄と天国を味わってきたんですが、今にして思えば去年行って来て大正解。今年以降、中々気安くは行けない存在になってしまいましたからねぇ

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