「カサンドラ・ウィルソン」の『グラマード』です。 声的には黒人そのもの、チョット男っぽく、癖のある声です。 ところが、この人のアルバムの伴奏はピアノレスな物が多く、ギターをはじめとした弦楽器と、いろんな打楽器を多用しています。そして音がシンプル。 それが、アフリカの民族音楽の様な雰囲気を醸し出し、そのとってもアフリカンな伴奏にこの人の声が非常にマッチして、独特の世界が眼の前に出現します。 1曲目の「フラジャイル」、これはとっても名曲で、誰がカバーしても良い曲になってしまうんですが、このアルバムでも一聴の価値ありの最高の出来上がりになっています。 |
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「チャリート」の『ヒール・ザ・ワールド』です。 全曲、マイケル・ジャクソンのカバーです。 選曲は在り来たりで、よくあるベスト盤の様になっていますが、さすがジャズに携わる人がアレンジしただけあり、伴奏は多彩でとてもよく出来ています。 原曲の雰囲気を残した曲も、別の曲の様にアレンジした物も、どちらも歌に溶けこんでいて、アルバム一枚通して聴いても全然飽きません。 いつもこの手のカバーアルバムを聴いて思うんですが、ほんとにマイケルは良い曲を残したんですねぇ。 |
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「ディー・ディー・ブリッジウォーター」がフランスへの感謝を込めて作ったアルバム 『フランスへのオマージュ』です この人一時期フランスに住んでいたそうで、アメリカに帰ってから作ったフランスへのトリビュート作品です。 一部英語の歌詞が聴きとれますが、他全てフランス語の歌唱です。全曲フランスの有名曲、いわゆるシャンソンと言われる物を多彩なアレンジで、とてもバラエティーに富んだアルバムにしています。 フランスにはアフリカからの移民がたくさんいますが、音楽にもそのような影響が入り込んでいるのでしょうか。アコーディオンにアフリカンなパーカッションを融合させた面白いアレンジが随所に見られます。 |
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「ギラ・ジルカ」の『オール・ミー』です。 日本人のジャズ歌手って、全く聴けた物ではありませんね。 まず音域が狭くて声にパワーがない、音程合わせるのに必死で、感情を声に乗せるだけの余裕がない。だからなにも響いてこない。 でっ、この人日本人なんです。と言っても、イスラエル人とのハーフ。さすがに声が違います。太くて奥行きがあって、響きがあってパワフル。 オリジナル曲数曲と、スタンダード、ボサノバに昔のテレビ主題歌、それに日本民謡まで、多彩な楽曲がギターメインのシンプルながらテクニカルな伴奏で歌われます。 純粋な日本人ではこのような声は出せないんでしょうかねぇ |
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「リズ・ライト」の『ドリーミング・ワイド・アウェー』です。 アルバムジャケットにはすごくアフリカンな方が写っていますが、声には全く黒人らしさがありません。 だれが聴いても馴染めるような、とっても素直で中々澄んだ声です。又、歌い方も丁寧で、非常に聴きやすい。 ただ曲ごとに歌い方を変える様な事はせず、どの曲でも同じ様な雰囲気の仕上がりになっていますので、それがアルバムの全体のテイストを壊す事のない要素になってはいるのでしょうが、ちょっと物足りなく感じたりもしちゃいます。 |
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「メロディー・ガルドー」の『アブセンス』です。 この人19歳の時に交通事故で重傷を負い、後遺症に悩まされた時に、治療の一環として始めた音楽活動で才能を開花させたそうですが、このアルバムでも全曲が自作曲です。 どの曲も個性的でバラエティに富んでいます。歌も非常にうまくて表現力が多彩で豊か。声量も豊かで余裕が感じられます。 でも、ほんとはこの前のアルバム『マイ・ワン・アンド・オンリー・スリル』の方がこの何倍も良いんですが、残念ながら稲城図書館にはありませんので、ここではこれを推薦しておきます。 |
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「ニッキー・パロット」の『ムーン・リバー』です。 日本のビーナスレコードの作品。ビーナスと言えば、セミヌードのジャケット写真で有名で、これもそんな感じに見えてしまうんですが、写っている女性、誰あろう、ニッキー・パロットご本人。 そして、抱き枕の様に抱えているベースが彼女の演奏する楽器。このベースを弾きながら歌う訳です。 まっ、ベースも歌もそこそこ、下手ではないが別に上手くもないというレベルなんですが、良いのは声そのもの。 まるでアルトサックスの様にホワッとしたふくよかさがあり、何んとも心惹かれる響きに満ちています。 実際に弾きながら歌う姿を見てみたいものですねぇ。 |
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「レベッカ・マーティン」の『フェン・アイ・ワズ・ロング・ア・ゴー』です。 これは非常に変わったアルバムです。まず、編成がボーカルにベース、サックスという三人。そしてベースがセンターに、サックスが右チャンネル、ボーカルが左チャンネルというその位置取りにも驚かされます。 ボーカルも上手くはないのですが、なんか老獪な味があります。又サックスも独特の吹き方で、ボーカルとの絡み具合も不思議な味を感じさせるようなちょっと変わった物です。 好き嫌いは分かれるとは思いますが、一聴して損はありません。 |
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「シモーネ」の『ムーンライト・セレナーデ』です。 これも日本のビーナスレコードの作品。ビーナスはいろんな国からスカウトしてきて、日本でデビューさせるという事を盛んにしていますが、日本ではまだジャズが生きているという事なんでしょうね。 この人も別に歌がうまい訳ではありません。但し、声にすごい特徴があります。一言で言うとマリリン・モンロー。 あの、何ともけだるい、色っぽさの塊の様な声と歌唱法がこのアルバムの聴きどころ。 ジャケットもモンローを意識しているんじゃないのでしょうか? 1曲目の「ティー・フォー・ツー」ですでに色っぽさ全開、もう腰砕けです。 |
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「ソフィー・ミルマン」の『テイク・ラブ・イージー』です。 この人は上手いですよぅ〜。そして声量もたっぷり、顔に似合わずチョットオヤジ臭い厚い声が、下から上まで軽々と出て来ます。 音程も正確、丁寧な歌い方でいて、更に感情の乗せ方も非常に上手い。どんな曲でも軽々とこなします。 元々はロシア出身だそうですけど、15歳でカナダに移住して、そこでデビューしたそうです。今、カナダ出身(デビュー)の女性ジャズボーカリストって多いですね。カナダも日本と同じ位ジャズが受け入れられているんでしょうね。 |
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「ステイシー・ケント」の『ブレックファスト・オン・ザ・モーニング・トゥラム』です。 このアルバム、全体的な雰囲気がとても好きですね。それは明るく抜けの良い録音におうところが多いと思うんですが、その明るい雰囲気にとてもマッチした、ステイシー・ケントの声がすごく可愛らしくて魅力的です。 大人の女性らしさをすごく湛えているのに、少女のようなかわいらしさを感じさせる声。こういう声でジャズを歌う人はなかなかいないんじゃないでしょうか。 フランス語の曲が数曲入っているんですが、この声で聴くフランス語は非常に気持ちいいですよぅ。 |