麻瀬憧庵                                 


スピーカーセッティング詳細へ            スキーサイズとストックの扱い方、及びスキーブーツのサイズとフィッティングについて   


スキー板

 昔々、私がスキーを始めた頃のスキー板は、とても細くてとても長い物でした。
その頃は、スキーヤーの伸長+何センチという選び方が推奨されていて、初心者でも+15cm以上の物を使っていたと思います。
現在のカービングスキーと言われるトップとテールが幅広い板は、二十数年前あたりから売り出されてきたようなのですが、年を経る毎に徐々に幅が広がって来て長さも短くなり、十数年ほど前に、ほとんど今の板位の形に落ち着いたんじゃないでしょうか。

今の板には、トップ、センター、テールそれぞれの幅と、設計上の回転半径と言われるラディウス(Rと表示されている・単位m)と呼ばれる数字が印刷されているものが多いのですが、このRの数字がおよそ20以下の物をカービングスキーと呼ぶようです。
昔の板は40〜60程もあったそうですので、如何に曲がりにくい板だったかわかりますね。

長さに関しては、今では身長で選ぶ必要はなく、ゲレンデで楽しむ一般スキーの場合身長以下の板でも何ら問題はありません。ですので、このラディウスを一番の目安にして選ぶのが良いでしょう。

Rの数字が小さければ小さいほど、小回り向きの板という事が出来るのですが、私の経験では、13前後が一番オールラウンドに使える板だと言えると思います。
11以下のショートターン専用スキーの場合、初心者なら良いのですが、緩斜面や高速で滑るような場合は扱いに苦労します。
曲がり過ぎてしまうのですね。その為、疲労度も高まります。

又、トーションと呼ばれるしなり具合を表す言葉もあるのですが、これは中々数字で表すことが難しく、業界で共通の規格等もないような状況なのですが、余り硬くてしなりずらい板は乗りにくいと思います。特に初心者はかなり柔らかめの板を選んだ方が正解です。

ストックの扱い方

 ストックの長さに関しては、はっきりこれとは言えない難しさがあり、スキーヤーの技術程度や、滑走斜面、滑走速度などにより微妙に違和感を感じてしまうことも度々あるでしょう。
私の場合は、グリップ部に半分に切ったもう一つのグリップを繋げ、フラットバーンでは上部を持ち長めに使い、コブ斜面では下部を持ち短めに使う様にしています。

一つ、ゲレンデで非常に気になるのが、間違った持ち方をしている人がとても沢山いるという事です。
それは、ストラップへの手の通し方なのですが、手首を痛める恐れがあるのでやめて頂きたいですね。
 良くある間違い。 ストラップの上から手を入れグリップを握る。
ストックの先が雪面に引っ掛って手からストックが離れてしまった場合、ストラップに手を引っ張られて手首を痛める事があります。


正しい握り方は、ストラップの下から手を入れてストラップごとグリップを握る。
手からストックが離れて手が引っ張られるような状況になっても、手を下ろすと共にそのまま自然に手首から抜けてくれるので比較的安全です。
初めてスキーをやる人は、まず、間違いなく上から手を入れてしまいますので、同伴者は注意して頂きたいですね。

スキーブーツ

 スキーブーツも年々良くなって、足への当たりも柔らかくなってフィット感は大分向上していますね。

長さに関してなんですが、普通、ショップなどで試着する場合、普段履いているスニーカーなどの大きさをまず選んで履いてみると思うのですが、そして、それが痛くなければそのまま購入してしまう事も多いと思います。わざわざその下のサイズを試着する事はめったにないですよね。
ネットで調べても、普段の靴のサイズかそれよりも1サイズ(0.5p)大きい物を選びましょうなどと書いてありますからね。

私も何十年もほぼそんな感じで選んでいました。そして数回履くうちに大分緩んできて、それ以後隙間をスポンジなどで埋めながらのチューンを続けながら履くという事が当たり前だった訳ですが、ほんの数年前、オークションで出ていたブーツを落札したことがあります。
その時、サイズ表示がちょっとおかしいなと思いながら、まぁ安いので試しにと落札したのですが、結局サイズ表示に間違いがあり、普段履きより1p小さい物でした。

こりゃ履けないだろうなと思いながら足を突っ込んだところ、なんとジャストフィット。
ほぼ隙間なく、そのくせどこか当たって痛いという事もありません。 そこで自分の足の実寸を測ってみたところ、そのブーツのサイズそのものだったのです。
その時、スキーを始めてこの方、ず〜っとブーツ選びを間違えていたことに気づきました。
スキーブーツは足の実寸サイズを選ぶのが正解だったのです。
もちろんどこか当たって痛いようでは使い物にはなりませんので、いろんなメーカーのいろんなブーツを試着する必要がありますが。
是非、実寸サイズの小さめの物から試すようにしてください。その上で、ワンサイズづつ大きい物を試すようにした方が良いですね。

今履いているブーツも、そのあとオークションで落札した実寸もの。 
今まで履いた物の中で最高のフィット感。 ヘタってぶかぶかになる感じもほとんどありません。

ブーツ選びで重要視するのはもちろんサイズ、フィット感なのですが、前傾のしやすさも大事なポイントですね。
この前傾のしやすさにつきましては、足首の細い人にとってはどのブーツを選んでも前傾しにくい、硬いブーツだと感じる事が多いと思います。
その理由は、ブーツのタング部の付け根と足首の前部の間に隙間が空いてしまっているからなのです。
ですので、その隙間を埋めてあげれば驚くほど前傾のしやすいブーツに変わります。

私もこのケースに当てはまるので、購入したブーツは必ずこの部分をチューンしてから使う様にしています。

◎ブーツのチューンアップ



  

スポンジゴムを型取りし、足首に当たる部分は隙間に合わせて数枚重ね、それをタング部に貼り、上から脛の滑りを妨げない様スウェット生地を貼り付けました。
ついでに、ちょっと当たる部分の周りにスポンジゴムを貼り、当たりを和らげています。

◎カント調節

一般に、立った状態を前から見ると脛はわずかに外側に開き加減のことが多く、この傾きをカント角と呼びます。
中級者以上用のブーツには、この傾きを調節する機能が備わっている場合が多く、それを調節し最適な状態にすることにより脛の傾きに連動した最適なエッジング角を得られる様になります。

私が使用しているテクニカ製のブーツには下の画像のような中心が偏向した丸いパーツが使用されています。
これを回して固定することにより、アッパーシェルの傾きを変える訳です。 当然、内側と外側では逆方向に振ることになります。

私の場合、右足より左足の方が脛の傾きが大きいようで、右足はそのままで調節できるのですが、左足はカント調節範囲内に収まらず、アッパーシェルの外側下部をかなり削り取らなければなりませんでした。

  

●適切なカント角を知る方法。

ブーツを履いてスキーをセットしたら、少し高めの椅子かテーブルに腰掛け、スキーが中空に浮くように足をブランと下げます。 ちょうどリフトに乗っているときの状態ですね。

ここで左右のスキーが床に平行になっているようならカント角はドンピシャです。
スキーのインエッジ側がアウトエッジ側よりも高くなっているようならカント角が足りません。 アッパーシェルがもっと外側に傾くようにカント角を大きくする必要があります。

このカント調整機能は、初心者用として売られている低価格のものにはついていないことが多いのですが、この調節はとても大切な部分なので、是非ともこの機能がついているブーツを選ぶようにして下さい。

カント角がスキー板に合っていないと、せっかく正しいフォームを取り入れてもスキーのエッジング角に反映せず、その結果、フォームや動きに悪い癖がついてしまう恐れが生じます。

スキー道具の中で一番重要なものは間違いなくブーツなのですが、既製のブーツで足にジャストフィットする事などまずありませんから、色々細かく手を加えなくてはいけません。
こういう事も含めてスキーの楽しみと言えます。

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                                                                  2022年11月18日・記

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