麻瀬憧庵                                 


スピーカーセッティング詳細へ                        遮音壁の制作記 その2              


 ウーファーを46cmの物に交換したところ、低音の質、量とも相当アップしたのですが、それに伴い室外への音漏れも増大し、近隣への迷惑度もアップしてしまいました。

なんとかせねばと遮音度を上げる方策を思案した揚句、部屋の壁全面に石を張り付けてしまう事に決定し、早速設計図を描きはしたのですが、相当大ごとになりそうなのでなかなか着工に至らず、3ヶ月ほど無為に時間を過ごしてしまいました。

当店は最近夏休みを取った事が無く普段通りの営業を続けていたのですが、今年は思い切って8日間という長い休みを取り、部屋の再改造に乗り出しました。
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 まずは床下の補強です。

前回の改造時、スピーカーを置く部分の床下には補強しておいたのですが、今回は壁よりの部分を全周補強しておきました。

更に、基礎のコンクリと建物本体との間に空いている空気穴には遮音シートを詰めて少しでも音漏れの度合いを減らすように努めました。

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壁に張り付けたのはこの庭石です。

30cm×30cm 厚さ3,5cm 重さ約5,4kg
と、20cm×20cm 厚さ3cm  重さ約3kg

最終的にはこれらの石を合計280個くらい使用しました。

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既存の壁(石膏ボード)を取り外す事から始めましたが、本来天井を外さないと壁の上部は外せない構造になっていたのですが、とてもそこまでは出来ないので天井際で切断する事にしました。

しかし、これが思いのほか大変な作業だった為、根気が続かずいい加減な切り方をしてしまったのですが、この事が最後再び取り付ける時にあちこちに歪が出る原因になってしまいました。

石膏ボードを取り外した後、貼ってあったロックウールを全て取り去ります。

前回換気扇は利用すべく生かしてあったのですが、やはり、この部分からの音漏れが非常に大きかったので、今回は換気扇を取り外し、残った木枠に石をはめ込んで塞いでしまいました。

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やはり音漏れの大きい窓部分にはブロックを押しこんで塞ぎました。
そして、壁全面に石を積み上げるように張り付けて行きました。

その後、ボードを留める為の木枠を張り付け、ロックウールを全面に張り付け元のボードを戻して完成です。

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他の3面も同じようにして作って行きました。

実は、8日間で殆んどの作業を終えるつもりでいたのですが、実際は、ここまでで休みが終わってしまいました。

もう、まったく体の無理が利きません。 

3時間動いて、30分休んで、又3時間作業するぞという気で開始しても、2時間でダウン。 その後30分休みのつもりがグダァーとして気づけば3時間経過。 という毎日で、全く能率が上がりませんでした。

仕方なく、夏休み終了後、毎日少しづつ作業を続けて行きました。

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今回、壁の遮音度を上げる事により、反射音が増え残響時間が延びてしまうのではないかと思い、前面の壁と天井の前側部分を吸音壁にする事にしました。

有孔パネルという規則的に穴のあいた薄めの板を張り、その穴から飛び込んだ音が内部で乱反射を繰り返しながら吸音材によりエネルギーを消耗し消えて行くという物で、昔、小学校の音楽室等に施されていたような壁です。

果してどれ位の効果が表れるのかさっぱり予測が付きませんので、どの位の面積に施せばよいのかそれも分からず、結局予算の関係もあり、前面の壁と天井半分強にしました。

ちょっと工夫したのは、前面の壁に接する左右の壁の30〜40cmくらいの部分と、後ろの天井側のコーナーの部分をそれぞれ有孔パネルを使用する事により吸音壁としてみました。 これによりコーナーからの放射波のエネルギーが少しは減るのではないかと思うのですが。

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更にもうひと工夫。
前面の壁には舞台の絵を描いてみました。 だまし絵です。

部屋の音響を整えると、音源に封じ込められた音場が見事に出現するのですが、うちの場合、スピーカーと壁との距離が近い為、壁よりもずっと奥に出現した音場を脳が素直に受け入れてくれず、なんだか落ち着かない気持ちで音楽を聴かなくてはならない事が多く、そこで何か脳をだます手段を講じなければいけないと思いこの様な手法をとりました。

以前は壁を認識しない様真っ黒に塗っていたのですが、光源を反射してしまい、逆に壁の存在を強く認識させるような結果になっていました。

 やっと完成したのが10月3日。 着工から1ヶ月半も掛かってしまいました。

更にシステムの設置とセッティングに数日を要し、やっと音出ししたところ ・ ・ ・

オォ〜!! なんだこりゃ〜!!

全く想像していなかったんですが飛躍的に音が良くなっている。
反響音の聴こえ方が段違いです。 ヘッドフォンで聴くレベルに近づいています。
もちろん音が目の前にぽっかりと浮かぶ様はヘッドフォンとはまったく比較になりませんよ。圧倒的です。

全ての音源がライブ盤のごとく聴こえる様な、素晴らしい存在感。

この結果は有孔パネルを用いた吸音壁にあることは明白ですね。
遮音度を上げただけでここまで向上する事はないでしょうから。

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実はこの後、音漏れを更に押さえたく、前面の有孔パネルを外し更に石を壁に張り付けてみました。
木枠を張り、グラスウールを張って再度有孔パネルを張り直し、ミニアンクを取り付け、音響補正ボックスをぶら下げてやっと完成。

この作業を行う前、補正ボックスを取り外した状態で試しに聴いてみたのですが、エッ、と思う位非常に良い気持ちで聴いていられるのです。 なんか、補正ボックス有りで聴いているのと変わらない感じなのです。

前面と天井の吸音壁と、特にコーナー部分を吸音処理した事がこの音の向上をもたらしたのは間違いありません。 その上に更に補正ボックスを設置したこの部屋の音響は ・ ・ ・

もう  ・ ・ ・  最高でぇ〜す!!
                                                                   2020年11月6日・記

2023年6月10日 追記

 脳は目から入る情報の処理を最優先し、その情報に大いなる影響を受けます。
と言う訳でだまし絵を描いたのですが、細かい穴が規則的に並んだ吸音壁に書いた物ですから、奥行き感が感じられる絵でも、その穴が見えてしまう事によりその場所に壁がある事を感じてしまい、だまし絵の効果はあまり発揮されませんでした。

そこで、どうした物かと考えた末、あることを実験してみる事にしました。      ⇒  完全吸音壁へ』

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