麻瀬憧庵                                 

貧乏人的音質改善術 A16円インシュレーターでわかった事


 昔、音源の主流がLPレコードよりCDに切り替わり始めた時、やはりご多分にもれずCDは喧しく聴こえほとんど聴く事も無く過ごしてきた訳ですが、それから相当経過した頃聴きたいCDが発売されたので、もう昔の様な事はないだろうと思い購入し、早速聴いてみたところ、やっぱりキンキン音なんです。

 しかし、さすがに、今時この様な物を売出す筈がないと思い、うちのシステムに欠陥があるのではないかと周波数調整に取り掛かりましたが、どうしても良くならない。レコードに合わせて調整するとCDはキンキンし、CDに合わせて調整すると、レコードは暗く沈んだ音になり面白くありません。

その時、スピーカーの下に置くインシュレーターも色々作って試していたのですが、ある時冗談半分でこんな物を作ってみました。
 16円インシュレーターです。
この3枚を重ねてスピーカーの下に入れるのですが、その際、真ん中の五円玉の穴にブチルゴムを穴の体積よりも少し多めに丸めて入れます。スピーカーの重みでゴムが貨幣の間に広がり振動を吸収するクッションになります。

共振周波数が違う三種の金属を重ねて使用するなんて冴えてる!っと自画自賛。
 実際使用してみるとこれが大正解。音が締り雑味が無くなったのがはっきりとわかりました。
但し、どうしてもブチルゴムを入れすぎてしまうんですよねぇ。
ブチルゴムはゴムというよりもう接着剤の様ですから、はみ出したブチルゴムが設置台にベタベタくっ付いて後々はがすのが大変でした。

でも、この時閃いたんですよ。CDに比べてレコードの音が沈んでしまうのは、色々な振動がカートリッジに伝わり、カンチレバーが正しい動きをしていないのではないか。それにより、そこで発電される電気信号が小さいのではないか。

当時、SMEの3012Rというアームを使っていたのですが、そのアームをプレーヤーキャビネットに取り付ける際、小さな丸いゴム4個の上に浮かせるようにあまり締めつけずに取り付けるのですが、経年劣化の為、そのゴムの弾性が無くなり、つぶれる様な状態になっていました。
 そこで、この度威力を発揮したブチルゴムをキャビネットとアームの間に詰めてみました。
何しろ、このゴムベトベトしていますから、ご覧の様なキッタナ〜イ仕上がりになってしまいました。
そして、カートリッジを付けているシェルとカートリッジの間にも、それまで挟んでいた鉛板に加えてブチルゴムを挟み、更に制振金属なるものをカートリッジに張り付けてみました。
 その結果、全く予想通りでした。前頁『@スピーカーキャビネットの振動抑制策』 で解説した通り、ある部分が正確に動く為には、その動きを受け止める部分は不動でなくてはならないという事だったのです。

 これにより、レコードとCDの高域部分のレベルが同じになり、両方とも同じに聴こえる様になりました。
で思ったんですが、CDが世に出された頃、キンキンして聴けた物ではないと言われた原因は、正にこれだったのではないのでしょうか。

つまり、元々振動により高域部分が減少しているレコードの音に合わせてスピーカーの周波数調整をしていたシステムで、高域がフラットに出ているCDを再生したからキンキンしているよう聴こえたという事だったのでしょう。

 このインシュレーターに関しても、値段的にはピンからキリまで、想像を絶するような価格の物もありますが、まぁ、よくそんな物を買うものだと思ってしまうのですが、皆さんはどのような物をお使いでしょうか。

色んな種類の物がありますが、論理的に納得いくのは逆三角錐で、重い本体を先の尖がったわずかな面積部分で受け止めるという物でしょうか。
これもいろんな金属で作られた物があり、それぞれ優位性をアピールしていますが、こんな物に金を払う気にはなりませんね。

という訳で、またまた自作してみました。

物は『六角フランジタッピングビ ス』
6mm×16mm片側4本。厚さ1
2mm位の板に貫通させま
す。

下にプレート(45円也)を敷き、 ス
ピーカーをセットしたら、板を右 方向
に回し、ビスの先端だけがプ レートに
触れるようにします。

設置後の様子。
3点支持が良いと言いますが、チョッ
ト不安定なので4点支持にしまし
た。
 音の感想はと申しますと、劇的変化は当然ありませんが、低音がより締り、いくらかクリアーになり、音源によっては、今まで聴こえていなかったベースの絃の揺れが見える様に聴こえてくる様になりました。

お高い製品を使っても、おそらく大差ない効果しか現れないでしょうから、これで大成功という事で!
                                                  2014年6月20日・記

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